フラッシュ型教材活用セミナー in 出雲

活用事例のご紹介

 2012年5月26日、島根県出雲市にある出雲市科学館において、「第32回 フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。小学校の先生を中心に、中学校の先生や教育委員会の方々など、55名の教育関係者にご参加いただきました。

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
会場の出雲市科学館
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出雲大社

 出雲といえば日本を代表する、縁結びの神様「出雲大社」のお膝元。縁というのは、男女の仲だけではありません!さて、今回のセミナーではどんな方々とご縁があるでしょうか?!

-第32回フラッシュ型教材活用セミナー in 出雲ご登壇者-

堀田 龍也 先生(玉川大学教職大学院)
高橋 純 先生(富山大学人間発達科学部)
金 隆子 先生(山形県米沢市立第二中学校)
片山 淳一 先生(岡山県総合教育センター)
表 克昌 先生(富山県氷見市立明和小学校)
土井 国春 先生(徳島県三好郡東みよし町立足代小学校)
大澤 由美乃 先生(三重県名張市立桔梗が丘小学校)

『趣旨説明』~フラッシュ型教材活用って?~

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こどもたちの目線で、テンション高めでいきましょう!堀田先生 趣旨説明

 スタートは、堀田龍也先生によるセミナーの『趣旨説明』。

 「フラッシュ型教材とは、昔からある“フラッシュカード”をパワーポイントのスライドにすることで、他の先生と共有できたり、簡単に編集ができたりするフレキシブルなものです。このセミナーではフラッシュ型教材の活用について、イメージを持って体感していただきます。そのためには、実際に皆さんにフラッシュを体験してもらうのが一番早い!ということで、普段は先生側のみなさんも今日は子どもになったつもりで参加していただきます」

 そしていきなり、帯分数のスライドを仮分数に直して答えるフラッシュ型教材の実践を2度繰り返されました。

  「1回目と2回目、どっちが楽ですか?2回目ですよね。わからないからと責めるのではなく、もう1回やればいい。繰り返しやっていくといつの間にかできるようになります」と堀田先生。

 次に提示されたのは、社会科の地図記号。

 「一人ずつ答えてもらいます」との指示に、緊張感も高まり、答えに戸惑う参加者も…。

 さらに、都道府県に関する問題では、「日本の都道府県名が出て来ますので読みましょう」「続いて県庁所在地を言いましょう」「名物を言いましょう」と、それぞれに答えさせ方を変えて提示されました。

 「このように、全員で言わせるのか、一人で言わせるのか、何を言わせるのか、によって難易度も緊張感も変わってきます。教材はシンプルだけど言わせ方次第で、工夫できるのがフラッシュ型教材です」。

 参加者は、緊張しながらも、大きな声を出してフラッシュ型教材を体感し、「なるほど!」とうなずく姿がとても印象的でした。

『模擬授業5連発』~“フラッシュ”のように次々に発表~

 堀田先生の軽妙なトークで、みなさん程よく和んだところで、まさに“フラッシュ”のようなめくるめく模擬授業5連発の始まりです。

 一つの模擬授業は“3分”という持ち時間。さあ、会場のみなさん・準備はOKですか!?

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土井先生 算数の模擬授業

 先陣を切るのは、土井国春先生(徳島県)。

 「参加者の皆さんは小学2年生です。これから時刻についての算数の勉強をします」

 時計のスライドを見て、まずは普通に時刻を言い、次に、10分後の時刻を言います。そして、「早くなった!」先生の合いの手に、どんどんスピードアップしていきました。

 「3時45分」…少し小さくなった参加者の声に「もっと元気に!」「できている!」と先生の言葉に励まされて、参加者もどんどん引き込まれていく様子が見て取れました。

 さて、みなさんはあっという間に6年生。続いて、表克昌先生(富山県)の歴史の模擬授業です。

 人物の絵を見て、先生の後について人物名を答えます。「卑弥呼、聖徳太子、聖武天皇…」。その次は参加者だけで答えます。最後に、人物に関係の深い出来事を先生が言い、参加者が人物名を答えます。「邪馬台国→卑弥呼」「十七条の憲法→聖徳太子」といった具合です。

 その後、表先生が、「レッツトライ!かるたゲーム!」と授業に変化をつけました。

 卓上に配っていた表先生特製のカルタを使って、先生が「卑弥呼」といったら「卑弥呼」と声に出しながら2人ペアでカルタを取ります。会場は大盛り上がり。歴史上の人物と関連する出来事に関する学習を、まさに“体を張って”覚える授業でした。

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表先生 社会の模擬授業

 今度は、みなさんは中学生です。

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金先生 国語の模擬授業

 金隆子先生(山形県)の国語・陰暦を覚える模擬授業です。

 まずは、先生の後に続いて「むつき(睦月)、きさらぎ(如月)、やよい(弥生)…」と12か月をひと通り読んでいきます。続いて「ふりがななしで、みなさんだけで」読み、「一文字隠れます」という言葉に続いてさらに読みます。そして、金先生から「目をつぶってよみましょう」との指示。先生の「1月」「2月」という言葉に続いて、「むつき」「きさらぎ」…と答えていきます。

 陰暦をいくつかのパターンで覚えたところで、俳句に使う「季語当てクイズ」が行われました。金先生の季語に続いて季節を答えます。「向日葵」は夏、「梅」は春、「手袋」は冬、「蜻蛉」は秋、と答えたところで、では「七夕は?…そう、7月なので秋です。季語がいっぱい詰まった歳時記、のぞいてみてください」という言葉で締めくくられました。

 金先生の、穏やかでありながらもテンポの良い模擬授業に、会場の誰もが魅了された瞬間でした。

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大澤先生 国語の模擬授業

 四つ目の大澤由美乃先生(三重県)は、国語を担当。四字熟語を覚えます。

 「一石二鳥」「一致団結」「一念発起」“一”で始まる四字熟語を集めて、リズム良くスライドに合わせて、参加者は声を出して読んでいきます。

 続いて、一部を薄い文字にした四字熟語を参加者だけで読みます。

 「では、交代読みをします。濃い字は男子、薄い字を女子がいいます」…「男子の方が少し元気ないかな」という言葉に男子の声も大きくなります。次に、男女逆で、最後は、二文字を薄い字にしたスライドを読み、難易度を少しずつ上げていきました。

 ここにも、ただ同じものを繰り返すだけでなく、飽きさせない工夫が見られす。

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土井先生 算数の模擬授業

 五つ目は社会の模擬授業。再び土井先生。

 世界地図を提示して、「海に囲まれている日本。日本のまわりの海の名前を答えましょう」という発問に続いて、スライドごとに「太平洋」「日本海」「東シナ海」「オホーツク海」と答えていきます。

 今度は、「日本のまわりにある国の名前を答えましょう」という発問に続き、「大韓民国」「朝鮮民主主義人民共和国」「中華人民共和国」…と答えていきます。

 いずれも、最初は名称が提示されましたが、2度目はその一部が隠され、最後には表示されませんでしたが、参加者の誰もが文字がなくても言えるようになりました。

 世界地図がいつも提示されていたので、単に名称だけでなく国や海の位置関係も視覚的に覚えることができたようです。

『フラッシュ型教材作成体験』~グル―プワークでアイデア満載~

 フラッシュ型教材の授業のイメージがつかめたところで、グループごとにフラッシュ型教材作りに取りくむワークショップが始まりました。講師は、片山淳一先生(岡山県)。パソコンは使わず紙での作成です。

 班づくりの後、班ごとにテーマを決め、一人一つずつ問題を考え、やさしい問題から難しい問題へと並べ替えをし、最後に発問を考えます。これで教材が一つ完成です。同じ要領で、今度は二人で一つの教材を作成し、自慢の教材を持って各班を回って紹介し、他の人は子ども役で実践していきます。

 道具のイラストを描いて読ませたり、□に入る数字を読ませたり、自分だけではなかなか気づけないようなアイデアをたくさんもらえるのも、このワークショップの大きな魅力です。参加者は真剣に取り組み、他のグループの参加者に披露しあう姿はとても生きいきとしていました。

 セミナー後のアンケートには、「問題の出し方によって難易度が全然違うことを実感しました」といった感想もあり、実際に教材を作成したり、答えたりすることで、教材作りの仕組み、発問の難しさを実感されたようでした。

 最後に片山先生は「家に帰ってさっそく作ってみてください」と宿題を出されました。

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片山先生 教材作成体験

解説:フラッシュ型教材の作成・入手のコツ

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高橋先生 
解説「フラッシュ型教材の作成。入手のコツ」

 ここからの進行は、高橋純先生です。模擬授業をご覧になり、実際に教材作りを体験したことで、発問や問題次第で随分とフラッシュ型教材の効果が変わることを実感された参加者のみなさんに、フラッシュ型教材を無料でダウンロードできる専用サイト“eTeachers(http://eteachers.jp/)”やフラッシュ型教材作成のコツを紹介していただきました。

 フラッシュ型教材は、“フラッシュ”という名前の通り、瞬時に判別して解答できるものにすることです。例えば、人物の絵を見せて、「何をした人でしょう」「気付いたことを言いましょう」「比較しましょう」等、ゆっくり考えることや解答が複数あるものは向いていません。

 そして、問題は10問程度に抑えたもので、繰り返し行えることが大事です。「都道府県名を北から順に全部答えましょう」よりも「都道府県を地域別に分けて、繰り返し行うことの方がいいんです」と高橋先生。

 フラッシュ型教材では、発問も重要で、答えが一つになるように出題することも重要なポイントです。

 高橋先生は、五線譜にソの音を表したスライドを提示して、「音符のソを答えさせたい場合、何と発問したらいいでしょうか」と参加者のみなさんに質問しました。会場からは「何の音でしょうか?」「音符を読みましょう?」等の回答が出ましたが、それでは回答が難しかったり、答え方にばらつきが出たりします。「小学生低学年にもわかるように、『ドレミで答えましょう』という発問があてはまるのではないでしょうか」という先生に会場も納得!

 さらに、フラッシュ型教材をダウンロードできる『eTeachers(http://eteachers.jp/)』のご紹介がありました。会員登録は無料です。全国の小中学校の先生が作成した教材を、学年別・教科別に検索し、必要なフラッシュ型教材を無償でダウンロードすることができるサイトです。現在、1万3千を超えるフラッシュ型教材があり、ダウンロードしたフラッシュ型教材をコピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりして、ご自分の教材としてアレンジできるという活用のポイントが示されました。

つづいてのセッションは『じっくり模擬授業3実践』 

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
大澤先生  基礎・基本の模擬授業

 このセッションでは、教科の基礎・基本の知識を身につけるための『フラッシュ基礎・基本』や、『フラッシュ漢検』、小学生英語活動のための『フラッシュ英単語/英語表現』といった市販されているフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。

 トップバッターの大澤先生は、『フラッシュ基礎・基本2年生』を使って、三角形や四角形の形や性質の定着を図った模擬授業を行いました。

 「辺」「頂点」といった名称をはじめ、「どっちが三角形でしょう?」と発問して、正しい方を「右・左」で答えさせたり、三角形や四角形でない理由を述べさせたりと、短時間で図形について理解できるよう工夫されていました。

 市販のフラッシュ型教材には、「やったね!」「合格!」といった「ほめ言葉」がそれぞれの教材の最後に付いています。

 子どもたちのやる気と集中力を高める必須アイテムです。

  

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
金先生  漢検の模擬授業

  続いて、金先生が『フラッシュ漢検』を使った模擬授業を披露しました。

 「漢字の読みの学習から入ります。私の後に続いて赤い漢字を読んでください。読みながら覚えましょう!」という指示に続いて「樹立」「地域」と読んでいきます。次は参加者だけで読み、最後に、ランダムにして、文ごと読んでいきました。まさに、繰り返しの重要性が実感できたようでした。

 続いて、漢字の書き取りの練習。まず、先生の後に続いて文全体、さらに赤い漢字だけを読み、さらに赤い漢字を空書きして指で覚えます。そして、金先生の読みに合わせて目をつむって空書きをしました。

 最後に金先生は、「それでは最後にテストをします。資料の中のワークシートを出してください!」と。参加者は「ここでテストなの?」と不安げに思われたところで、「では、本当にできるか。おうちでお願いします!」との締めくくりに、会場は一変、笑いの渦に…。

 

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
表先生  英語の模擬授業

  最後を飾るのは、表先生による『フラッシュ英単語/英語表現』の模擬授業です。

 「Hello! 後ろの人も Hello! イエ―イ!」というハイテンションな挨拶からスタート。『フラッシュ英語表現』を使って“Can you ~?”、「~ができますか?」という言い方の練習です。

 まず、英語の文章と音声が流れ、参加者は音声に続いてリピートします。

 “Can you cook?”―“Yes, I can.”

 “Can you play the piano ?”―“No, I can’t.”

 次に音声をオフにし、アンサーだけを言います。併せて、Yesの時は、親指を立ててグーを、Noの時は、首をかしげます。さらには、ランダムにして音声をつけて質問をし、参加者はそれぞれ回答するといった具合。首のかしげ方に、あちらこちらで笑いが起こり、和気藹々とした雰囲気に包まれました。

 そして、“Let’s play BINGOゲーム!”の開始です。イラストでも漢字でも、カタカナでもOK! スポーツの名前を九つのマスに埋めます。

 覚えたばかりの“Can you ~?”を使い、尋ねたスポーツに対して相手がYesだったら自分のワークシートにマークし、Noだったらマークできないというルール。「できるだけたくさんビンゴにしましょう! Ready go !」という表先生の合図にビンゴゲームは白熱。参加者は、ゲーム感覚で楽しめるフラッシュ型教材に、ここでも大盛り上がりでした。この日のチャンピオンは、3ビンゴの参加者でした。 

解説『フラッシュ型教材の活用のポイント』 

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
高橋先生
解説「フラッシュ型教材活用のポイント」

 『フラッシュ型教材の活用のポイント』では、日常的に授業に取り入れる際のポイントについて、高橋純先生が解説されました。

 「フラッシュ型教材の特徴として、短い時間で、テンポよく、繰り返し、ほめまくる。そうすることで顔があがり、緊張感も生まれ、集中し、自信もつくといった特徴については、すでに実感されたと思います。要するに短い時間で基礎学力を向上させていこうという教材です」。

 そして、「初めは、都道府県名や九九などの定番教材を使うこと。『eTeachers(http://eteachers.jp/)』でもダウンロードできますが、市販の教材を利用すると、たくさんの教材から必要な教材を探す手間が省けます。とくに英語の教材では、ネイティブスピーカーの音声が入っていますし、しっかりとしたイラストも付いています。イラストはプリントしてパウチすれば、カードも作れます」と話されました。

 最後に、「最も重要なことは、短い時間でいいから毎日続けること。1週間に1度だけで25分間やるよりも、1日5分を継続してやる方が効果的です。そして必ず、ほめ言葉も添えることがポイントです」といった極意もお伝えいただきました。

 参加者のみなさんは、模擬授業を直にご覧になり、教材作成にもチャレンジした後だけに、高橋先生のお話に、真剣なまなざしで聞き入っている姿がとても多く見られました。 

『総括講演』~フラッシュ型教材を活用した現実的なICT活用~

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
堀田先生
 総括講演「フラッシュ型教材活用のポイント」

 セミナーの締めくくりは、堀田先生の『総括講演』。

 初めに、ある薬の写真が一つ大きく提示されました。

 「これはどういうときに飲みますか? 薬というのは、効能があって頭が痛い時に飲むもの、おなかが痛い時に飲むものと、それぞれに効能があります。教材も一緒です」

 そして、「フラッシュ型教材は、文部科学省が示す『確かな学力』の中で言うと、『知識・技能』の基礎・基本知識を定着させることや、習熟させることにしか効きません」と。

 参加者のみなさんは、すでに納得されている表情です。

 さらに、「一斉授業の中で、全員が一緒に基礎・基本の知識を身につけるための教材ですから、教える先生も、エアコンのスイッチを入れるような感覚で、ICT機器を気軽に使うことが大事です。ICTは特別なものではなく、先生の授業を楽にし、子どもたちに力をつけるためのものなのです」と締めくくられました。

  

 

 会場を後にする先生方からは、「とても有意義でした」「また開催してください」「ありがとうございました!」といった声をたくさんかけていただきました。私たちも、縁結びのパワースポット・出雲でいただいたパワーを大切にして、これからのセミナーにあたっていきます。こちらこそ、「ありがとうございました!」

 

参加者の感想(アンケートより)

フラッシュ型教材活用セミナーin三重
• 模擬授業を受けてとても実感がわきました。明日から使える、基礎学力を定着させるヒントをいただきました。ありがとうございました。
• 貴重な機会を島根で与えていただき、ありがとうございました。知識の定着に、ぜひフラッシュ型教材を活用したいと思います!
• フラッシュ型教材を初めて経験したが、生徒の立場でみると、ワクワク感がとてもして、興味・関心が高まると思った。
• 教委としてぜひ各校のICT環境整備をすすめるとともにフラッシュ型教材の活用を含めたICT活用の研修を行っていきたい。
• 今後も島根のICT活用が少しでも進むよう、このセミナーの開催をお願いします。
• 今日さっそく家に帰ってつくってみようと思います。宿題のプリントとも関連づけてやってみたいとも思いました。
• とても簡単で、少しずつ毎日実践できるのがいいと思いました。資料を作ってみたいと思います。ありがとうございました。