フラッシュ型教材活用セミナー in 名張

活用事例のご紹介

 2012年1月28日、三重県名張市にある美旗市民センターにおいて、「第31回 フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。68名の参加者があり、終始和気あいあいとした雰囲気に包まれたセミナーとなりました。

趣旨説明

フラッシュ型教材活用セミナーin三重

 まずは堀田龍也先生(玉川大学教職大学院 教授)によるセミナーの趣旨説明。ここで参加者は、フラッシュ型教材とはどのような教材なのかということを体験します。

堀田先生は、まず帯分数を仮分数に直すフラッシュ型教材を提示しました。1回目はスピードも遅く、声も小さめ。「もう1回やってみましょう。同じ問題が出ます」と言ってやってみると、今度は声も大きくそろっています。「1回目と2回目、どっちが楽ですか?2回目ですよね。最初はできなくても、繰り返し練習するとちゃんとできるようになります。1回分は短いけれどくり返しできる、というのがフラッシュ型教材の特長です」と堀田先生。

 「ではもうひとつフラッシュをやってみましょう。県名が出て来ますので読みましょう」参加者は、まず「沖縄県、北海道、静岡県、愛知県、三重県」とそのままスライドを読んでいきます。続いて「県庁所在地を言いましょう」。那覇市、札幌市…と答えていくと、さらに「名物を言いましょう」と堀田先生。一通りやった後、「何か気づいたことはありますか」と尋ねました。

「同じ県名を5枚出しましたが、何と尋ねるかによって、難易度が変わります。全員で言わせるのか、列ごとで言わせるのか。教材はシンプル、言わせ方で工夫し、盛り上げていくのがフラッシュ型教材です。つまり、『単純だけど意外と奥深い』ということがこのセミナーで伝わればと思います」

 実際にフラッシュ型教材を体験したことで、参加者はフラッシュ型教材のイメージをつかみ、これから始まるセミナーに期待を抱いたようでした。

模擬授業4連発!

フラッシュ型教材活用セミナーin三重フラッシュ型教材活用セミナーin三重

 「フラッシュ型教材活用セミナー」は、このセッションからどんどん勢いを増していきます。まずは、大澤由美乃先生(三重県名張市立桔梗が丘小学校)、片山淳一先生(岡山県総合教育センター)、金隆子先生(山形県米沢市立第二中学校)による算数、理科、社会、国語の模擬授業が披露されました。

 大澤先生は、算数と社会を担当。算数では、長さを言い換える教材です。「1m50cm=150cm」「2m45cm=245cm」といった式を、まずは先生の後に続いてそのまま読み、次に男女分かれてもう一度繰り返します。続いて、問題が「230cm=2m□cm」のような穴埋め形式になり、少し難易度がアップします。同じようにくり返し読むことによって、スムーズに長さの単位を言い換えることができるようになります。社会の模擬授業では、地図記号を覚えた後に、正しい方を右か左で答える教材が披露されました。ただ読ませるだけでなく、答えさせ方にもバリエーションをつけることで、変化のある教材になるということが示されました。

 片山先生は理科の模擬授業。折れ線グラフの特徴についてです。グラフを見て、その特徴を「だんだん上がる」「だんだん下がる」「変化なし」と一言で答えていきます。そして、覚えたことばを使って、晴れの日の気温の変化や、水のあたたまるようすについて「だんだん上がってからだんだん下がる」というように、簡潔に答えます。理科のグラフを読み取る単元でも、知識として特徴を知ることの大切さを伝える教材でした。

 国語は金先生による陰暦を覚える模擬授業。まずは先生の後に続いて「睦月、如月、弥生…」と読みます。続いて「ひらがななしで、みなさんだけで」という指示に続いて読み、「一文字隠れます」という言葉に続いてさらに読みます。さらに金先生から「目をつぶりましょう。私が月を言うので、陰暦を答えてください。わからない人は、目を開けていいですよ」という指示がなされました。金先生の「1月」「2月」という言葉に続いて、「睦月」「如月」と読んでいきます。続いて、金先生から「陰暦では、1月、2月、3月が春、4月、5月、6月が夏、7月、8月、9月が秋、10月、11月、12月が冬です。今から俳句に使われる季語を紹介します。季語は季節を表す言葉です。いつの季語でしょう」という指示がなされました。「向日葵」=夏、「梅」=春、「手袋」=冬、「蜻蛉」=秋、「五月雨」=夏と答えていき、最後は「七夕は?…そう、7月なので秋ですね。季語がいっぱいつまった歳時記、のぞいてみてください」という言葉で締めくくられました。金先生の、穏やかでありながらも確実に繰り返し取り組ませ、知識を定着させる授業力、さらには、覚えた内容にさらなる興味をもたせる言葉がけに、会場の誰もが引き込まれていました。

教材作成・活用体験演習

 フラッシュ型教材の活用イメージがつかめたところで、高橋純先生(富山大学 人間発達科学部 准教授)による「フラッシュ型教材 作成・活用 体験演習」に移ります。これまでのいずれのセミナーにおいても必ず大きな盛り上がりを見せているこのセッションでは、班ごとにフラッシュ型教材作りに取り組みます。といっても、パソコンは使いません。「まずは班づくりをします」という高橋先生の声とともに、各班に紙とペンが配られました。

 高橋先生の進行のもと、まずは班ごとにテーマを決めて、問題を一人1つ考えます。その後、問題を提示する順番を決めて、最後に発問を考えます。これで教材がひとつ完成します。一人で1教材作るのではなく、班のメンバーで協力して3教材作るのが、このワークショップの大きなポイントです。1作目を作ったのと同じ要領で、2作目、3作目を作っていきます。イラストを見て英語で答えるもの、平方根を答えるもの、ローマ字を読むもの、部首の名前を答えるものなど、内容は各班様々です。

 最後にそれを班同士で互いに披露しあいます。自慢の教材を披露する参加者の表情はとても楽しそうでした。「1万円札が磁石につくか、などというハッとするような問題を入れるのがいいと思いました」という感想に、高橋先生は、「瞬時に判別して答えなければいけないことを問題に出すのがポイントですね。記号を読むとか文字を読む、計算するなどとバリエーションが広がっていくと思います」と解説されました。実際に教材を作成することを通して、参加者はバリエーションの広がりを実感したようでした。

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対談:フラッシュ型教材ここからはじめる

 「対談:フラッシュ型教材ここからはじめる」では、チエル株式会社の三好からフラッシュ型教材を無料でダウンロードできるサイト 「eTeachers」の紹介が行われました。 eTeachersは、会員登録(無料)を済ませた、全国の小中学校の先生が作成した教材を検索し、ダウンロードすることができます。1万3千以上の教材をもつ eTeachersの中から、代表的な教材の例を三好から紹介し、高橋先生からは、ダウンロードした教材をコピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりすることによって教材をアレンジできるという活用のポイントが示されました。

じっくり模擬授業4実践

 「じっくり模擬授業4実践」では、教科の基礎・基本の知識を身につけるためのフラッシュ型教材や、漢字、食育、小学校英語のためのフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。

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 片山淳一先生(岡山県総合教育センター)は、『フラッシュ基礎・基本』を使って、方位を覚えさせます。画面に提示された方位記号が指し示す方位を答えていきます。まずはひとつひとつ答えを確認しながらゆっくり提示し、2回目は答えを示さずにすばやく提示、3回目は順番をランダムにし、方位を指さしながら確認します。方位を確認したら、中国地方の地図を見ながら、それぞれの都道府県が広島県から見てどの方位にあるかを答えていきます。たとえば、「岡山県、東」「山口県、西」という要領です。少しずつ難易度が上がっていくので、記号で覚えた方位を、地図上の方位にも確実に応用させていくことができます。

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 続いて、金先生が『フラッシュ漢検』を使った模擬授業を披露しました。「対義語です。私の後に続いて読んでください。読みながら覚えましょう」という指示に続いて「定例-臨時」「公開-秘密」とセットで読んでいきます。次に「□のあるほうを読んでください」という指示に続いて、金先生が「定例」と言ったら参加者が「臨時」と読むという要領で、交互に読んでいきます。「次は書き取りです。文を私と一緒に読んで、漢字を覚えます」と金先生。「木木の【若葉】があざやかだ」「特急列車の【座席】を予約する」などと文章を読んでいきます。【若葉】や【座席】などは、実際は書き取りの問題となるが、書き取りもまずは読みからおさえていきます。「次は□の中の漢字だけ読みます」という指示に続いて、若葉、座席…と読んだら、更に右手をあげ、空書きして指で覚えます。すべて書き終えたところで、金先生は「じゃあみなさん鉛筆をもってください。机上のプリントを出して、鉛筆でしっかりと書いてください…あとはどうぞ、おうちでお願いします。終わります」と模擬授業を締めくくられました。会場は、ほっとした気持ちと少し残念なような気持ちが入り交じった雰囲気に包まれました。

 「それではこれから、好きな料理ゲットゲームをはじめます!」という声とともに、再び片山先生の登場。『フラッシュ食育』を活用した模擬授業です。会場をぱくぱくチームともぐもぐチームに分け、それぞれの代表者が1名ずつ出て来て、ジャンケン勝負で好きな料理カードを取り合います。勝った方は3枚、負けた方は1枚のカードを取ることができます。何回かのジャンケンを行い、カードを取り終えた後、片山先生は「これは、今日の先生のお昼ご飯です。実は料理には4つの種類があるのを知っていますか。まず、ごはんやパンなどのことを主食と言います。主食にはどんなものがあるか、フラッシュで確認しましょう」と言い、『フラッシュ食育』の「主食」を提示しました。「うどん、親子どんぶり、カレーライス…」参加者は料理名を読んでいきます。そして、「先生はお昼にからあげを食べました。このような、肉や魚などのおかずのことを主菜といいます。では主菜にはどんなものがあるかフラッシュで確認しましょう」と言って、同様に主菜を確認していきました。主食、主菜、副菜、汁物すべてをフラッシュで確認した後、「実はカードの裏側に、主食、汁物などと書いておきました。4つの種類の料理をいくつそろえることができるでしょうか。代表者の方、裏返して並べてみてください」という片山先生の指示のもと、代表者がカードを裏返していくと―「もぐもぐチームは『合格ランチ』が3種類。ぱくぱくチームは、残念ながら『合格ランチ』はできませんでした。2回戦では作戦を考えて、4つの種類が集まるようにしましょう。これで終わります」楽しみながら食育が学べる模擬授業に、会場は、一段と大きな拍手に包まれました。

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 最後を飾るのは、笠原晶子先生(群馬県前橋市立荒牧小学校)による小学校英語の模擬授業。“Hello, everyone! How are you?”という挨拶からスタート。「今日は、好きなくだものを聞いたり、答えたりする勉強をします」といって、『フラッシュ英単語』を使ってくだものの名前をリピートしていきます。くだものの名前がしっかりと覚えられたところで、今度は『私は~が好きです』という言い方を練習します。『フラッシュ英語表現』「どのくだものがすき?」の「まねして言おう」を使って、“I like ~.”と言っていきます。「いま、好きな食べ物を言う言い方を練習しました。今度は聞く方を勉強したいと思います。フラッシュが会話するのをよく聞いて下さい」と言って、笠原先生は『フラッシュ英語表現』の“What fruit do you like?”“I like apples.”という会話を聞かせました。 「何のくだものが好きですか。“What fruit do you like?” と言います。聞かれたら、“I like apples.”というふうに答えます。…これで聞いたり言ったりできるようになりました。ここでゲームをしたいと思います。ピンクベアチームとイエローベアチームにわかれて、代表者に出て来てもらいます。みんなで、フラッシュに何のくだものが好きかを聞いて、フラッシュが言ったくだものを、チームの代表の人が素早くタッチします。早くタッチした人が、自分のフルーツパフェにくだものを入れられるというゲームです」会場全員で“What fruit do you like?”とフラッシュに尋ねたり、笠原先生が参加者に尋ねて“I like ~.”と答えてもらったりなどして、ゲームは白熱。2回戦行い、両方とも接戦となりました。ゲームで楽しみながらくだものの名前を覚られるだけでなく、相手への尋ね方、答え方も覚えることができ、参加者は、フラッシュ型教材を活用した授業の可能性を感じたようでした。

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パネルディスカッション

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 パネルディスカッションでは、日常的なフラッシュ型教材活用のコツについて実践発表が行われました。

笠原先生からは、ALTがいない時間に『フラッシュ英単語/英語表現』が活かせるという話がありました。「英語ノートだけでは物足りないし、自分の発音も心配ですが、『フラッシュ英単語/英語表現』を使えば、自信をもって発音指導ができます。子どもは提示するだけで自然にリピートしますし、知っている単語を増やすことで、次の活動の準備ができます。操作が簡単なのもうれしい。PDFでカードのデータが入っているので、印刷してパウチしてマグネットを裏に貼ればずっと使えます。学校で購入したので、校内研修でどんな授業ができるか話し合ったりもしています」と、英語が得意でなくても自信を持って外国語活動の授業ができるということについて、詳しくお話をされました。

一方、外国語活動よりも圧倒的に多い教科の授業ではどのように活用しているかということについてもお話がありました。 「学校全体で使っていますが、やはり楽しく練習できることと、短い時間でできることが魅力だと思います。クラスの中で気になるお子さんも、フラッシュをやると前を向いて声出すからいいねという声も聞こえています。教材の選び方のコツは、まずは定番を使ってみるのが一番簡単で効果があるかなと思っています。かけ算九九やローマ字。漢字の読みはすべての学年でおすすめです。eTeachersからダウンロードしたものを書き換えて使っています」

そして、「どの教材を使うにしても、覚えさせなければ意味がないので、飽きないように工夫して、何度も繰り返させるのが大事です。簡単なものから難しいものへ、が基本。教材だけでいえば、答えつき、毎回同じ順なら簡単です。そこで、後ろからにしたりランダムにしたり、すごく早くしたりして難しくします。また、答えさせ方も、穴埋めだけじゃなく、大きい方の手を挙げましょうとか、○か×で答えましょうとか変化をつけます。回数や時間も、一日に長い時間やるよりも、5分でも毎日繰り返した方が子どもたちはよく覚えます」とまとめられました。

「まずは、定番の教材を」「短い時間で、できるだけ毎日」そして、「簡単なものから難しくしていく」という、まさに日常的なフラッシュ型教材活用の極意が紹介され、参加者は納得の表情で聞き入っていました。

総括講演

フラッシュ型教材活用セミナーin三重

 セミナーを締めくくる堀田先生の総括講演では、薬の効能の話から始まりました。「頭が痛いとき、お腹が痛いとき、薬を飲みます。薬というのは、効能があって、何に効くかがはっきりしています。教材も同じです。フラッシュ型教材は、文部科学省が示す『確かな学力』の中で言うと、『知識・技能』を定着させることや、習熟させることにしか効きません。フラッシュ型教材を使って思考力が身につかないという人がいたら、それは使う局面が間違っているのであって、効果が出ないのは教材のせいではないんです」

 さらに「習得・活用・探究でいえば、習得したことを活用するのだから、活用するためにも習得がきっちりされている必要があり、さらにその中でも習熟しておいてもらわないと困る内容があるわけです。そういった下支えする部分にフラッシュ型教材が効くということになります」

 そして、「『何でもできる』というのは、日常的には使いにくいんです。シンプル・イズ・ベストです。シンプルなもので、使い方に工夫する。それが現場に根付くICT活用です。一般の先生の、毎日の授業が支えられるようなICT活用でなければいけないし、毎日の積み重ねでこそ、子どもたちの学力はついていきます」と結ばれました。

 フラッシュ型教材で身につけるべき力、教材の使いどころ、そしてこれから先、私たちが目指すべきICT活用についてのお話に、参加者はうなずきながら、終始真剣な表情で耳を傾けていました。

参加者の感想(アンケートより)

・先生の声が聞きやすかった。発問によって同じ教材がいろんなパターンで使えるのがよかったです。
・答えさせ方にも一斉だけでなく、教師について言ったり、列ごとに言ったりという工夫があることがわかりました。
・わかりやすい課題に具体的な資料を交えて論じてくれたので、わかりやすかったです。知識の素地作りのためにICT活用の必要性がよくわかりました。
・フラッシュは学力の下支えという言葉にとても感動しました。子どもの学力を上げるために日々実践を積んでいきたいと思います。
・英語の授業に対する不安が無くなりました。ぜひフラッシュ英語を使ってみたいです。
・実践のお話を聞かせていただいたことで、実際に使うときのイメージがわきました。