フラッシュ型教材活用セミナー in 長崎

活用事例のご紹介

フラッシュ型教材活用セミナーin広島

2011年11月12日、長崎県時津町北部コミュニティセンターにおいて、「第30回 フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。82名の申し込みに対して、79名の参加者があり、高い参加率と終始なごやかな雰囲気に包まれたセミナーとなりました。

趣旨説明

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 まずは堀田龍也先生(玉川大学教職大学院 教授)によるセミナーの趣旨説明。ここで参加者は、フラッシュ型教材とはどのような教材なのかということを体験します。

 堀田先生は、まず帯分数を仮分数に直すフラッシュ型教材を提示しました。1回目はスピードも遅く、声もちょっと小さめ。「もう1回やってみましょう。同じ問題が出ます」と言ってやってみると、今度は声も大きくそろっています。「1回目と2回目どっちが楽ですか?2回目ですよね。最初はできなくても、繰り返し練習するとちゃんとできるようになります」と堀田先生。

 「ではもうひとつフラッシュをやってみましょう。県名が出て来ますので読みましょう」参加者は、まず「沖縄県、北海道、静岡県、愛知県、広島県」とそのままスライドを読んでいきます。続いて「県庁所在地を言いましょう」。那覇市、札幌市…と答えていくと、さらに「名物を言いましょう」と堀田先生。一通りやった後、「何か気づいたことはありますか」と尋ねました。

「同じ県名を5枚出しましたが、何と尋ねるかによって、難易度が変わります。全員で言わせるのか、列ごとで言わせるのか。教材はシンプル、やらせ方で工夫し、盛り上げていくのがフラッシュ型教材です。つまり、『単純だけど意外と奥深い』ということがこのセミナーで伝わればと思います」

 実際にフラッシュ型教材を体験したことで、参加者はフラッシュ型教材のイメージをつかみ、これから始まるセミナーに期待を抱いたようでした。

模擬授業4連発!

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎フラッシュ型教材活用セミナーin長崎フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 「フラッシュ型教材活用セミナー」は、このセッションからどんどん勢いを増していきます。まずは、本多博先生(長崎県教育センター)、笠原晶子先生(群馬県前橋市立荒牧小学校)、土井国春先生(徳島県東みよし町立三庄小学校)による理科、算数、国語、社会の模擬授業が披露されました。

 本多先生は、理科と国語を担当。理科では、『花のつくり』のフラッシュ型教材が披露されました。「次の部分の名前を答えなさい」という発問に続いて、「がく」「花びら」「おしべ」「めしべ」「しぼう」の5つの部分の名前を、まずは本多先生の後に続いて読みます。一度読んだら、「今度はみなさんだけで読みます」という本多先生の指示に続いて「がく」「花びら」…と読んでいきます。繰り返し読むうちに、模式図がだんだん写真に代わっていきます。最後に、出題順が替わっても読めることを確認しました。

 国語の模擬授業では『四季の言葉』について。本多先生の後に続いて「ひな祭り」「茶摘み」「梅雨」などの四季の言葉を読み、続いてその四季の言葉もあわせて覚えます。「ひな祭り 春」「梅雨 夏」といった具合です。その後、しっかりと覚えたか順番を入れ替えて確認します。最後に長崎バージョンの特別問題として「ペーロン」「くんち」「長崎ランタンフェスティバル」「しょうろう流し」が出題され、参加者がいっそう自信を持って答える姿も見られました。

 笠原先生は算数を担当。「大きな数の復習をします」といって、「153」「5326」などの3桁と4桁の数字を読ませました。続いて、「ちょっと難しい問題を出します」と言って5桁以上の数字を提示しました。最初は、笠原先生の「はい」という声を合図に読みます。続けて、それぞれの位の数がいくつかを確認した後、「もっとすらすら読めるように練習します」と言って、5桁以上の大きな数が次々と提示されました。千の位と一万の位の間に線が引かれているので、大きな数でも悩まず読むことができます。男子と女子で交代で読むという読ませ方の工夫も披露されました。

 土井先生は、社会を担当。世界地図を見せて、「日本のまわりの海の名前を答えましょう」という指示に続いて「太平洋」「日本海」「東シナ海」「オホーツク海」と答えていきます。続いて、発問を変え、「日本のまわりにある国の名前を答えましょう」という指示に続いて、「日本」「大韓民国」「朝鮮民主主義人民共和国」「中華人民共和国」「ロシア連邦」「モンゴル国」と答えていきます。いずれの場合も、最初は名前が提示されますが、2回目は名前の一部が隠され、最後には名前が表示されなくても言えるようになるように、少しずつステップアップしていきます。

 4つの模擬授業が披露され、参加者は、答えさせ方や言わせ方、問題の提示の仕方などについてイメージをつかんだようでした。

教材作成・活用体験演習

 フラッシュ型教材の活用イメージがつかめたところで、高橋純先生(富山大学 人間発達科学部 准教授)による「フラッシュ型教材 作成・活用 体験演習」に移ります。これまで開催したいずれのセミナーにおいても必ず大きな盛り上がりを見せているこのセッションでは、班ごとにフラッシュ型教材作りに取り組みます。といっても、パソコンは使いません。「まずは班づくりをします」という高橋先生の声とともに、各班に紙とペンが配られました。

 高橋先生の進行のもと、まずは班ごとにテーマを決めて、問題を一人1つ考えます。その後、問題を提示する順番を決めて、最後に発問を考えます。これで教材がひとつ完成します。一人で1教材作るのではなく、班のメンバーで協力して3教材作るのが、このワークショップの大きなポイントです。1作目を作ったのと同じ要領で、2作目、3作目を作っていきます。ひと桁の足し算や穴あきかけ算、音楽記号の名前を答えるもの、時刻を読むもの、道具の名前をこたえるもの、小数を分数になおして言うものなど、内容は各班様々です。

 そして、最後にはそれを班同士で互いに披露しあいます。自慢の教材を披露する参加者の表情はとても楽しそうでした。「ゲーム感覚に楽しくできたけれど、難しい問題は答えられなかったです」という参加者の感想に、高橋先生は「新しいことを勉強するときに使う道具ではないということですね。おぼろげながらも知識をもっていて、その習熟をはかる段階で使える教材ということです」と解説されました。また「ひとつの教材から、教師がどれだけ発問を出せるかによって、子どもは知識や理解が深まると思いました」という感想には、「1回やっただけではなく、あらゆる角度から繰り返し練習することで、単なる記憶から生きて働く知識になるということです」と解説されました。実際に教材を作成することを通して、参加者はそれらのことを実感したようでした。

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対談:フラッシュ型教材ここからはじめる

 「対談:フラッシュ型教材ここからはじめる」では、チエル株式会社の三好からフラッシュ型教材を無料でダウンロードできるサイト 「eTeachers」の紹介が行われました。 eTeachersは、会員登録(無料)を済ませた、全国の小中学校の先生が作成した教材を検索し、ダウンロードすることができます。1万3千以上の教材をもつ eTeachersの中から、代表的な教材の例を三好から紹介し、高橋先生からは、ダウンロードした教材をコピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりすることによって教材をアレンジできるという活用のポイントが示されました。

じっくり模擬授業4実践

 「じっくり模擬授業4実践」では、教科の基礎・基本の知識を身につけるためのフラッシュ型教材や、漢字、食育、小学校英語のためのフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 土方奈緒美先生(東京都稲城市立長峰小学校)は、『フラッシュ基礎・基本 1年生』を使って、『いくつといくつ』の模擬授業です。「先生の後に続いて読みます」という指示のもと、リズムに乗って「1と9で10」「2と8で10」と読んでいきます。「みんなだけで言えるかな」という指示でもう一度読んだ後、先生が「1と」と言ったら「9で10」と続けて答えるという具合で、繰り返し取り組みます。出題順をランダムにしてもう一度取り組んだ後、土方先生は「では、ちゃんと覚えたか確認します。机の上に数字のカードが置いてありますので、並べて置きます。広げたら手を頭の上に置いて準備します。では、先生が言った数字と10になる仲間の数字を見つけて取ります。先生が1と言ったら9、2と言ったら8を取ります」と指示しました。同じ机の仲間同士で競い合います。 「3!」「6!」「8!」…1回ごとに「やったー」という喜びの声と、「ああ~」という残念そうな声が会場のあちこちで聞こえ、たくさん取った人を拍手で称えました。

 続いて、土井国春先生(徳島県東みよし町立三庄小学校)は、『フラッシュ漢検』を使って、対義語・類義語を覚えさせます。まずは先生の後に続いて「定例-臨時」「公開-秘密」と対義語をセットで読みます。次に土井先生は「では、先生が読むことばの対義語を答えてください」と指示しました。土井先生が「定例」と言ったら、参加者は「臨時」と答えるという具合です。『フラッシュ漢検』の「対義語」「類義語」の教材は、穴埋め形式で問題が提示され、□の位置が違う問題も提示されるので、参加者は両方の熟語を覚えることができます。

 土井先生は最後に、穴のある熟語だけを答えさせて確認をしました。類義語も同様の方法で取り組んだ後、「みなさんもう対義語も類義語も覚えましたね。では、机の上にテストがありますので、やってみましょう!…今日はやりません。おわります」と土井先生が言うと、会場は、笑顔とともに、残念なような安堵したような声に包まれました。

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 「今日の食育は箸の使い方の勉強をします。絵を見て正しいと思ったら大きく丸、これはおかしいなと思ったら大きく×を手でつくりましょう」という声とともに、再び土方先生の登場。『フラッシュ食育』を使って、箸の使い方を覚えていきます。正しい箸の使い方と、正しくない使い方のイラストがそれぞれ提示され、○×で答えながら、×のときはどこがいけないのかもあわせて確認をします。続いて、「いま出て来た絵には、それぞれ名前がついています。正しいときは○、そうでないときは先生の後に続いて読みます」という指示のもと「くわえ箸」「たたき箸」など、箸の使い方の名前を読んでいきます。順番を入れ替えて読み、絵だけを見ても言えるか確認した後、会場をもぐもぐチームとペロリチームに分けて、神経衰弱ゲームで確認します。ホワイトボードに貼られたイラストと文字のカードが見事ペアになったら、1点。結果は、なんともぐもぐチームの圧勝。会場は拍手に包まれました。

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 最後を飾るのは、表克昌先生(富山県氷見市立明和小学校)による小学校英語の模擬授業。“In America, (they say) ‘hello’(ハイタッチ).”という言葉とともに、参加者と表先生が挨拶をデモンストレーションして見せます。“Everybody stand up!”というかけ声を合図に、参加者も同じやり方で“Hello.”と挨拶し、ハイタッチします。続いて、“Namaste.”“Konnichiwa.”など、それぞれの国の挨拶を行います。その後、『フラッシュ英語表現』を使って、「自己紹介」のお手本を全員でリピートします。“Hello. My name is Ken. I like oranges. I like basketball. Thank you.”と何度も練習したら、自分の名前や好きなものに置き換えて言ってみます。ただ単にリピートするのではなく、自分のことに置き換えて言ってみることで、自己紹介の表現を自然に覚えることができます。その後、グループのメンバーで互いに自己紹介をします。メンバーの意外な好きなものがわかって会場は大盛り上がり。自然と拍手も起こります。

 続いての「聖徳太子ゲーム」で、相手の自己紹介を覚えるゲームへと続きます。表先生の“I like...”のかけ声に続いて、グループのメンバーが、それぞれの好きなものを同時に言います。リーダーは、メンバーのそれぞれが何を好きと言ったのかを聞き取って答えるというゲームです。リーダーの悩ましげな表情や、わかったときの喜び、楽しさに、参加者は夢中になっていました。最後に、覚えた表現を使って“Who am I?”ゲームに取り組みます。表先生が出すヒントをもとに、提示された写真の人物が誰かをあてるゲームです。“I like bananas.”“I like chocolate.”…少しずつ写真が見えるようになっていき、がっしりとした足が見えたところで、参加者の中から挙手が。「内村航平くん」という答えに、写真が見えるようになっていき、金メダリスト・内村航平選手の写真が表れ、会場からは大きな拍手がわき起こりました。覚えた自己紹介の表現を使ってたくさんのアクティビティに取り組み、参加者の多くは授業のアイディアを得られた充実の表情に満ちていました。

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パネルディスカッション

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 パネルディスカッションでは、日常的にフラッシュ型教材を活用している先生方からの実践発表が行われました。

 表先生からは、小学校英語活動の取り組みについてのご発表がありました。「外国語活動の目標は、コミュニケーション能力の素地を養うということですから、コミュニケーション活動をたくさんさせたい。そのためには必要な単語や表現を知っていることが大切です。外国語活動は1週間に1時間しかありませんから、次にやるときには子どもたちは覚えた単語や表現をほとんど忘れてしまっています。でも毎日少しずつ復習すれば90%くらいは覚えているというデータがあります。私も実際に、朝の時間に毎日やってみましたが、8つの単語を毎日やらせてみると、子どもはだいたい7つくらいは覚えています。毎日少しずつやるのが大事なんだと思いました」

 そして、「発音が苦手なら、教材に任せていいと思います。担任の先生の仕事は、授業を組み立てること、勉強の苦手なお子さんをサポートすること、先生も一緒に勉強しているんだよ、という学ぶ姿勢を子どもたちに見せることだと思います」というお話は、外国語活動に不安を抱える多くの教師に勇気を与えるものでした。

 笠原先生からは、フラッシュ型教材を日常的に活用している立場からのご発表がありました。「フラッシュ型教材はいろんな教科で使えます。国語なら漢字の読み。これは、教科書にあったものはなかなかないので、ひとつ作って書き換えるのがおすすめです。算数は簡単な計算、社会なら都道府県名など。市販の教材を使うのもいいです。定番なので失敗が無いし、内容が網羅されていておすすめです」と、自作教材との使い分けについてもアドバイスがありました。

 さらに、「一日に長い時間やるよりも、5分でも毎日繰り返した方が子どもたちはよく覚えます。飽きないように変化を入れるのもコツかなと思います。答えつきで同じ順で提示するだけでなく、後ろからやったり、答えなしでランダムでやったりして難しくしていく。答えさせ方も、教師の後に続いて、みんなで、男女交代で、また全員でとやってみるのもいいです。算数のときには、大きい方の手を挙げるという答えさせ方もおもしろいと思います」と、日常的にフラッシュ型教材を活用している笠原先生だからこその説得力あるお話に、参加者は真剣な表情で聞き入っていました。

総括講演

フラッシュ型教材活用セミナーin長崎

 セミナーを締めくくる堀田先生の総括講演では、薬の効能の話から始まりました。「頭が痛いとき、お腹が痛いとき、薬を飲みます。薬というのは、効能があって、何に効くかがはっきりしています。教材も同じです。フラッシュ型教材は、文部科学省が示す『基礎・基本』の中で言うと、『知識・技能』にしか効きません。フラッシュ型教材を使って思考力が身につかないという人がいたら、それは使う局面が間違っているのであって、効果が出ないのは教材のせいではないんです」

 「習得・活用・探究でいえば、習得したことを活用するのだから、活用するためにも習得がきっちりされている必要があり、さらにその中でも習熟しておいてもらわないと困る内容がある。くり上がり、くり下がり、九九など。そういったいちばんベースのところにフラッシュ型教材が効くということになります」

 そして、「『なんでもできる』というのは、日常的には使いにくいんです。シンプルイズベストです。シンプルなものを入れ、使い方で工夫する。それが現場に根付くICT活用です。普通の先生の、毎日の授業が支えられるようなICTでなければいけないし、毎日の積み重ねでこそ、子どもたちの学力はついていきます」と結ばれました。

 フラッシュ型教材で身につけるべき力、教材の使いどころ、そしてこれから先、私たちが目指すべきICT活用についてのお話に、参加者は終始真剣な表情で耳を傾けていました。

参加者の感想(アンケートより)

・ 提示の仕方で、難易度を変えることができると知り、なるほど!と思いました。
・ 授業の開始数分の授業の様子が体験できました。前時の復習や習熟のために活用すると、毎日の積み重ねで大きな力がつくと感じました。 ・ 自分でもぐっとはまって授業を受けました。子どもたちも必ず大好きになってくれると思いました!
・ まず手作りでやってみて感じがつかめました。シンプルな教材でも、教師の発問次第でいくらでも深めることができるということがわかりました。
・ 特別なときだけ使うのではなく、普段の授業や日々の学校生活の中に上手く取り入れることでメリハリのある活動をすることができるのだろうと感じました。
・ 説明がとてもわかりやすく、ICTへの抵抗感がかなり減りました。
・ 大変実感を伴うお話をいただきました。さっそく使ってみようと思いました。

 

札幌市教育文化会館
開催地情報

時津町北部コミュニティセンター