フラッシュ型教材活用セミナー in 広島

活用事例のご紹介

フラッシュ型教材活用セミナーin広島

2011年10月15日、広島県RCC文化センターにおいて、「第29回 フラッシュ型教材活用セミナー」が開催されました。参加者は53名。和気あいあいとした雰囲気のセミナーとなりました。

趣旨説明

フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 まずは堀田龍也先生(玉川大学教職大学院 教授)によるセミナーの趣旨説明。ここで参加者は、フラッシュ型教材とはいったいどのような教材なのかということを体験します。

 堀田先生は、まず帯分数を仮分数に直すフラッシュ型教材を提示しました。1回目は声もやや小さめ。「もう1回やってみましょう。同じ問題が出ます」と言ってやってみると、今度は声も大きくそろっています。「1回目と2回目どっちが楽ですか?2回目ですよね。繰り返すとちゃんとできるようになります」と堀田先生。「では、続いてもうひとつフラッシュをやってみましょう。県名が出て来ますので読みましょう」参加者は、まず「沖縄県、北海道、静岡県、愛知県、広島県」とそのままスライドを読んでいきます。続いて「県庁所在地を言いましょう」。那覇市、札幌市…と答えていくと、さらに「名物を言いましょう」と堀田先生。一通りやった後、「気づいたことはありますか」と尋ねました。

「同じスライドで並び方も同じ。違うのは発問ですね。教材はシンプルでも、全員で言わせるのか、男子だけ言わせるのか、女子だけ言わせるのかとで、いろいろなバリエーションがあります。教材はシンプルで、言わせ方などで子どもたちに合わせていくことが大切です。つまり、『単純だけど意外と奥深い』ということがこのセミナーで伝わればと思います」

 体験型の趣旨説明を受け、参加者はフラッシュ型教材のイメージをつかみ、これから始まるセミナーに期待を抱いたようでした。

模擬授業4連発!

フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 「フラッシュ型教材活用セミナー」は、このセッションからどんどん勢いを増していきます。まずは、大澤由美乃先生(三重県名張市立桔梗が丘小学校)、石井一二三先生(青森県八戸市立根城小学校)、土井国春先生(徳島県東みよし町立三庄小学校)による算数、音楽、社会のフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。

 大澤先生は、算数と社会を担当。算数では、「大きな声で読みましょう」という発問に続いて、「1m=100cm」「1m50cm=150cm」というスライドを提示し、先生の後に続いて読んでいき、さらに「1m50cm=□cm」「230cm=2m□cm」のように穴埋め形式で確認をしていきます。社会では、提示された地図記号を読んで覚えた後、右か左か正しいほうを選ぶというものなどが披露されました。「男子が先に読みます」「みんなだけで読みます」と答えさせ方にも工夫をされていました。

 石井先生は、音楽を担当。「pp(ピアニッシモ)」「p(ピアノ)」「mp(メゾピアノ)」「mf(メゾフォルテ)」「f(フォルテ)」「ff(フォルティッシモ)」の6つの強弱記号を先生の後に続いて読んだ後、一人ずつ答えていきます。続いてそれぞれの意味を読み、記号を見て意味を答えたり、意味を見て記号を答えたりできるかを確認していきます。最後に、それぞれの記号の強さを、手拍子で表します。「pp」であれば、グーの形、「p」であれば指は1本ずつ、「ff」であれば指は5本すべて、という具合に指の数を変えて手をたたいていきます。指の数を変えることで、音の大きさが変わるので、強弱が耳でもわかります。最後に「ff ff ff …」 という提示があり、全員が拍手をして終わりました。

 土井先生は、算数を担当。まず、等しい分数についての復習で、□にあてはまる数を答えた後、「約分しましょう」の指示のもとに、約分した数を答えていきます。いずれも、最初は答えの数字がうっすらと見えるので答えやすいのですが、それがだんだん薄くなっていき、それにつれて難易度も上がっていくので、参加者の声にも緊張感が増していきます。薄字が完全に消えた状態で最後の問題を終え、参加者には少しほっとした表情とともに、「これは授業で使えそう」と隣同士で語り合う姿も見られました。

教材作成・活用体験演習

 フラッシュ型教材の活用イメージがつかめたところで、高橋純先生(富山大学 人間発達科学部 准教授)による「フラッシュ型教材 作成・活用 体験演習」に移ります。これまで開催したいずれのセミナーにおいても必ず大きな盛り上がりを見せているこのセッションでは、班ごとにフラッシュ型教材作りに取り組みます。といっても、パソコンは使いません。「まずは班づくりをします」という高橋先生の声とともに、各班に紙とペンが配られました。

 高橋先生の進行のもと、まずは班ごとにテーマを決めて、問題を一人1つ考えます。その後、問題を提示する順番を決めて、最後に発問を考えます。これで教材がひとつ完成します。一人で1教材作るのではなく、班のメンバーで協力して3教材作るのが、このワークショップの大きなポイントです。1作目を作ったのと同じ要領で、2作目、3作目を作っていきます。ひと桁+ひと桁の足し算や、穴あき九九、正しい送りがなを右か左で答えるものや、「未」「非」などの否定の一文字を入れて熟語を読むものなど、内容は各班様々です。

 そして、最後にはそれを班同士で互いに披露しあいます。他の班の教材を見た参加者からは、「作るのに技術がいらないのがすごくいいなと思います」「いろんな問題が簡単にできて便利だし、一瞬で答えないといけないというのもよいです」という感想が聞かれました。

 高橋先生からは「一瞬で答えられなければいけない内容をフラッシュで取り扱います。考えこまなければいけないものはフラッシュには向かないです。また、技術がなくてもよい教材が作れるということはすごく大事なことです。今日、紙で作っていただいたのは、そのことに気づいていただくためでした。ソフトの技術をたくさん覚えるのではなく、教材の、何をねらいとしてきちんと教えるのかということを体験していただきたかったので、そのことが伝わってすごくよかったと思います」というまとめのコメントがありました。参加者の、何度もうなずきながらのことばに聞き入っている姿が印象的でした。

フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島

対談:フラッシュ型教材ここからはじめる

 「対談:フラッシュ型教材ここからはじめる」では、チエル株式会社の三好からフラッシュ型教材を無料でダウンロードできるサイト 「eTeachers」の紹介が行われました。 eTeachersは、会員登録(無料)を済ませた、全国の小中学校の先生が作成した教材を検索し、ダウンロードすることができます。1万2千以上の教材をもつ eTeachersの中から、代表的な教材の例を三好から紹介し、高橋先生からは、ダウンロードした教材をコピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりすることによって教材をアレンジできるという活用のポイントが示されました。

じっくり模擬授業4実践

 「じっくり模擬授業4実践」では、教科の基礎・基本の知識を身につけるためのフラッシュ型教材や、漢字、食育、小学校英語のためのフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。

フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 片山淳一先生(岡山県総合教育センター)は、『フラッシュ基礎・基本』を使って、方位を覚えさせます。画面に提示された方位記号が指し示す方位を答えていきます。まずはひとつひとつ答えを確認しながらゆっくり提示し、2回目は答えを提示せずにすばやく提示、3回目は順番をランダムにし、方位を指さしながら確認します。方位を確認したら、中国地方の地図を見ながら、それぞれの都道府県が広島県から見てどの方位にあるかを答えていきます。たとえば、「岡山県、東」「山口県、西」という要領です。少しずつ少しずつ難易度が上がっていくので、すべての参加者が間違えることなく取り組むことができます。

フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 続いて、土井国春先生(徳島県東みよし町立三庄小学校)は、『フラッシュ漢検』を使って、対義語・類義語を覚えさせます。まずは先生の後に続いて「定例-臨時」「公開-秘密」と対義語をセットで読みます。次に土井先生は「では、先生が最初に読みます。皆さんは、その対義語を答えてください」と指示しました。土井先生が「定例」と言ったら、参加者は「臨時」と答えるという具合です。『フラッシュ漢検』の「対義語」「類義語」の教材は、穴埋め形式で問題が提示され、□の位置が違う問題も提示されるので、参加者は両方の熟語を覚えることができます。

 土井先生は最後に、穴のある熟語だけを答えさせて確認をしました。類義語も同様の方法で取り組んだ後、「今日はたくさんの漢字を読みました。みなさんもう書けるようになっているはずですね。机の上にテストがありますので、5分間でやってみましょう!…今日はやりません。おわります」と土井先生が言うと、会場は、笑顔とともに、残念なような安堵したような声に包まれました。

フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 「チーム対抗、好きな料理ゲットゲームをはじめます!」という声とともに、再び片山先生の登場。『フラッシュ食育』でフラッシュ型教材を活用した模擬授業を披露しました。会場をもぐもぐチームとペロリチームに分け、それぞれの代表者が1名ずつ出て来て、ジャンケン勝負で好きな料理カードを取り合います。勝った方は3枚、負けた方は1枚のカードを取ることができます。何回かのジャンケンを行い、カードを取り終えた後、片山先生は「これは、今日の先生のお昼ご飯です。実は料理には4つの種類があるのを知っていますか。まず、ごはんやパンなどのことを主食と言います。主食にはどんなものがあるか、フラッシュで確認しましょう」と言い、『フラッシュ食育』の「主食」を提示しました。「うどん、親子どんぶり、カレーライス…」参加者は料理名を読んでいきます。そして、「先生はお昼にからあげを食べました。このような、肉や魚などのおかずのことを主菜といいます。では主菜にはどんなものがあるかフラッシュで確認しましょう」と言って、同様に主菜を確認していきました。主食、主菜、副菜、汁物すべてをフラッシュで確認した後、「実はカードの裏側に、主食、汁物などと書いておきました。4つの種類の料理をそろえることができるでしょうか。代表者の方、裏返してそろえてみてください」という片山先生の指示のもと、代表者がカードを裏返していくと―「ペロリチーム、たくさん取ったけど『合格定食』はできませんでした。しかし、少なかったもぐもぐチームは、ひとつ『合格定食』ができました。おめでとうございます。もぐもぐチームの勝ちです。では2回戦は4つそろうように作戦を考えてやってみましょう。これで終わります」楽しみながら食育が学べる模擬授業に、会場は、一段と大きな拍手に包まれました。

 最後を飾るのは、表克昌先生(富山県氷見市立明和小学校)による小学校英語の模擬授業。“In America, (they say) ‘hello’(ハイタッチ).”という言葉とともに、参加者と表先生が挨拶をデモンストレーションして見せます。“Everybody stand up!”というかけ声を合図に、参加者も同じやり方で“Hello.”と挨拶し、ハイタッチします。続いて、Namaste.”Konnichiwa.”など、それぞれの国の挨拶を行います。その後、『フラッシュ英語表現』を使って、「自己紹介」のお手本を全員でリピートします。“Hello. My name is Ken. I like oranges. I like basketball. Thank you.”と何度も練習したら、自分の名前や好きなものに置き換えて言ってみます。ただ単にリピートするのではなく、自分のことに置き換えて言ってみることで、自己紹介の表現を自然に覚えることができます。その後、グループのメンバーで互いに自己紹介をします。メンバーの意外な好きなものがわかって会場は大盛り上がり。

 続いての「聖徳太子ゲーム」で、相手の自己紹介を覚えるゲームへと続きます。表先生の“I like...”のかけ声に続いて、グループのメンバーが、それぞれの好きなものを同時に言います。リーダーは、メンバーのそれぞれが何を好きと言ったのかを聞き取って答えるというゲームです。リーダーの悩ましげな表情や、わかったときの喜び、楽しさに、参加者は夢中になっていました。最後に、覚えた表現を使って“Who am I?”ゲームに取り組みます。表先生が出すヒントをもとに、提示された写真の人物が誰かをあてるゲームです。“I like swimming.”“I like curry.”…少しずつ写真が見えるようになっていき…“I like ‘ヤングマン’.”と言ったところで会場からは思わず笑い声。表先生の「みんなで!」の声に「西条秀樹!」。会場からは大きな拍手がわき起こりました。覚えた自己紹介の表現を使ってたくさんのアクティビティに取り組み、参加者の多くは授業のアイディアを得られた充実の表情に満ちていました。

フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島

パネルディスカッション

フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 パネルディスカッションでは、日常的にフラッシュ型教材を活用している先生方からの実践発表が行われました。

 表先生からは、小学校英語活動の取り組みについてのご発表がありました。「これまで小学校の英語活動を10年くらいやってきました。外国語活動では、コミュニケーション能力の育成を目指していますが、そもそも単語や表現を知らなければコミュニケーションできませんよね。だから、まずそれらをきちんと覚えさせることが大切です。英語活動は1週間に1時間しかありませんから、次の時間には子どもたちは覚えた単語や表現をもう忘れてしまっています。でも1日経って復習すれば90%くらいは覚えているというデータがあります。私も実際に、朝の時間に毎日やってみましたが、8つの単語を毎日やらせてみると、子どもはだいたい7つくらいは覚えています。毎日少しずつやるのが大事なんだと思いました。でもこればかりやっていると子どもはだれてくるので、ときどき一人ずつやらせたりすると、緊張感をもって取り組むようになります」

 そして、「実践のコツは、『苦手なところは任せる』ということです。英語活動に対する不安の第1位は『発音』。でも、苦手なところは教材に任せていいと思います。担任の先生の仕事は、授業を組み立てること、勉強の苦手なお子さんをサポートすること、先生も一緒に勉強しているんだよ、という学ぶ姿勢を子どもたちに見せることだと思います」というお話は、外国語活動に不安を抱える多くの教師に勇気を与えるものでした。

 石井先生からは、フラッシュ型教材を日常的に活用している立場からのご発表がありました。「フラッシュ型教材はいろんな教科で使えます。国語なら漢字の読み、算数は簡単な計算、社会なら人物名、英語や食育なら覚えた単語や食品の名前でかるたゲームもできます。ちょっとお試しでやってみたい方はeTeachersを眺めてみるといいと思います。自分好みにアレンジしたい方は、eTeachersからダウンロードした教材を書き換えるだけですし、今すぐ使いたい方は『フラッシュ基礎・基本』などのすでにある教材がおすすめです」と、一人ひとりのフラッシュ型教材の活用程度にあわせたアドバイスがありました。

 さらに、「フラッシュ型教材は、一日中使うと子どもたちはぐったりしてしまいます。授業の導入場面とまとめの場面に2~3分使うのが効果的だと思います。全員で言わせたり、男子だけ女子だけ、一人ずつ言わせたりとやってみると、子どもたちの理解度もわかります」「順番に難しいものを提示することもポイントです。いきなり難しい問題だとできなくてがっかりしてしまうので、少しずつ難しくしていくことでできるようになります」と、毎時間フラッシュ型教材を活用している石井先生だからこその説得力あるお話に、参加者は真剣な表情で聞き入っていました。

総括講演

フラッシュ型教材活用セミナーin広島
フラッシュ型教材活用セミナーin広島

 セミナーを締めくくる堀田先生の総括講演では、薬の効能の話から始まりました。「頭が痛いとき、お腹が痛いとき、薬を飲みます。薬というのは、効能があって、何に効くかがはっきりしています。教材も同じです。フラッシュ型教材は、文部科学省が示す『基礎・基本』の中で言うと、『知識・技能』にしか効きません。それ(基礎・基本の知識)を身につけるために使う教材です。フラッシュ型教材を使って思考力が身につかないという人がいたら、それは使う局面が間違っているのであって、効果が出ないのは、教材のせいではないんです」

 「ほとんどの子どもができている問題をできない子どもがいる。彼らはわからなくて困っているし、先生もまた、彼らができないことに困っている。彼らに重要なのは、本当に必要な知識を覚えさせてあげることだと思います。何かを覚えられたら、『できるようになった』という気持ちになりますから。先生にとっても、その子たちの机間指導の時間が減るだけでなく、教室の空気が変わります」

 そして、「あの人だからできる、あの学校だからできるというICT活用ではなく、すべての子どもたちに力をつけ、クラスの雰囲気を良くし、自分たちも少しだけ楽になる。そういうICT活用ではなければいけない」と結ばれました。

 フラッシュ型教材で身につけるべき力、教材の使いどころ、そしてこれから先、私たちが目指すべきICT活用についてのお話に、参加者は終始真剣な表情で耳を傾けていました。

参加者の感想(アンケートより)

・とてもよかった。何よりもやってみようという意欲が持てました。
・授業での活用をイメージすることができました。
・テンポよく授業が進められて、よい教材だと思いました。
・紙とマジックでも、効果的に教材が作成でき、どの教科でも活用できるので、とてもよかったです。
・作成することのハードルが低くなった。ダウンロードしてみて、自分なりにアレンジしていこうと思えた。
・活用していく時のちょっとしたコツやアイデアをいただき、より活用しやすくなりました。基礎学力の定着につなげていきたいと思いました。
・フラッシュは知識・技能の習熟にとても役立つことがわかりました。おもしろく、楽しく聞けました。
・フラッシュ型教材の本当の役立て方、活用の本当の意味をしっかり伝えていただきました。