フラッシュ型教材活用セミナー in 札幌

活用事例のご紹介

2011年6月25日、北海道・札幌市教育文化会館において「フラッシュ型教材活用セミナー」が行われました。市内の先生方を中心に、77名の先生方が集まり、涼しい札幌ながらも、熱気あふれるセミナーとなりました。

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趣旨説明

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 ほとんどが札幌市内からの参加ということもあり、和気あいあいとした雰囲気の中、セミナーは穏やかにスタート。まずは堀田龍也先生(玉川大学教職大学院 教授)によるセミナーの趣旨説明。ここで参加者は、フラッシュ型教材とはいったいどのような教材なのかということを体験します。堀田先生は、まず帯分数を仮分数に直すフラッシュ型教材を提示しました。1回目は声も小さく、スピードも遅め。「もう1回同じ問題をやってみましょう」と言ってやってみると、今度は声も大きくそろっています。「2回目のほうが簡単でしたね。自信があったら大きい声を出せますね」と堀田先生。

模擬授業4連発!

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 フラッシュ型教材活用セミナーは、このセッションからどんどん勢いを増していきます。まずは、割石隆浩先生(札幌市立新琴似緑小学校)と片山淳一先生(岡山県総合教育センター)による国語、算数、理科、社会のフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。「2と3の最小公倍数は6」「3と4の最小公倍数は12」のように、まずは繰り返し読んだ後に、(2,3)や(3,4)を見て最小公倍数を答える教材や、方位記号、日本地図を見て方角を答える教材、漢字の読みを繰り返し提示して、全員で読む定番の教材、グラフを見てその特徴を「だんだん上がる」「だんだん下がる」と一言で答える教材など、必ず定着させたい内容ばかりです。同じ問題でも、スピードアップして答えさせたり、隣の人より早く答えさせたり、列ごとや1人ずつ、男女に分かれてなど、答えさせ方にはいくつものバリエーションがあることが参加者にも伝わったようでした。

教材作成・活用体験演習

 フラッシュ型教材の活用イメージがつかめたところで、高橋純先生(富山大学 人間発達科学部 准教授)による「フラッシュ型教材 作成・活用 体験演習」に移ります。毎回大盛り上がりのこのセッションでは、班ごとにフラッシュ型教材作りに取り組みます。といっても、パソコンは使いません。「まずは班づくりをします」という高橋先生の発声とともに、紙とペンが配られました。

 高橋先生の進行のもと、まずは班ごとにテーマを決めて、問題を1人1つ考えます。その後、問題の順番を決めて、最後に発問を考えます。これで教材がひとつ完成。同じ要領で、2作目、3作目を作っていきます。ベテランも若手も、小学校の先生も中学校の先生も一緒になって、班で協力して教材を作り上げていきます。漢字の部首を答えるものや、いくつといくつで10になるかを答えるもの、音楽記号の名前を答えるもの、実験器具の名前を答えるものなど、内容は様々です。そして、最後にはそれを班同士で互いに披露しあいます。他の班の教材を見て「アイディアがあればいろんなことができそうだと思った」「1年生の春には、先生の名前を覚える教材ができそうだと思った」という感想のほか、「たった2つ数字を書くだけでも、発問を変えればたし算、ひき算、かけ算、わり算と、ぜんぶ練習できる」といったように、ベテランの技が光る教材の披露もありました。自分だけではなかなか気づけないようなアイディアをたくさんもらえるのもこのワークショップの魅力の1つです。自慢の教材を披露したり、他の班の教材に取り組んだりする参加者の表情はとても楽しそうでした。

 最後に高橋先生のまとめとして「ICTというと難しいものだと考えがちですが、数字をひとつ書くだけでも“教材”になります。さらにそれを1人ずつ答えさせるのか、全員で答えさせるのかによっても難易度が変わってきます」「さきほどの『先生の名前』の教材のように、学校で覚えなければならないことは、勉強のこと以外にもあります。先生方の工夫次第でそういった内容にも使えますね」といったポイントの説明がありました。体験を通して、参加者はすっかり教材作りのコツをつかんだようでした。

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対談:フラッシュ型教材ここからはじめる

 「対談:フラッシュ型教材ここからはじめる」では、チエル株式会社の三好からフラッシュ型教材を無料でダウンロードできるサイト 「eTeachers」の紹介が行われました。 eTeachersは、無料の会員登録によって、全国の小中学校の先生が作った教材を検索し、ダウンロードすることができます。1万2千以上の教材をもつ eTeachersの中から、代表的な教材の例を三好から紹介し、高橋先生からは、ダウンロードした教材をコピーしてスライドを増やしたり、文字や数字を書き換えたりすることによって教材をアレンジできるという活用のポイントが示されました。

じっくり模擬授業4実践

 「じっくり模擬授業4実践」では、教科の基礎・基本の知識を身につけるためのフラッシュ型教材や、食育、小学校英語のためのフラッシュ型教材を活用した模擬授業が披露されました。土井国春先生(徳島県東みよし町立三庄小学校)は、『フラッシュ基礎・基本』を使って、関東地方の都道府県名と都庁や県庁所在地を覚えさせます。まず地図上で1つひとつ県名とその位置を確認した後、「群馬県・前橋市」というように、県名と県庁所在地名をセットで答えさせます。最終的には、地図上で隠された地域の県名と、その県庁所在地名をセットで答えるところまで難易度を上げて行われました。少しずつステップアップしていくので、つまずくことなく覚えることができます。

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 続いて、「今日は食べ物ゲットゲームをします」という声とともに、笠原晶子先生(群馬県前橋市立荒牧小学校) が「食育」でフラッシュ型教材を活用した模擬授業を披露。会場をもぐもぐチームとペロリチームに分け、ジャンケン勝負で好きな食べ物カードを取り合います。何回かのジャンケンを行い、カードを取り終えたところで、次の展開へ。「食べ物はそのはたらきで3つに分かれています。1つ目は赤のグループ、おもに『体をつくるもとになる食品』、2つ目は黄色のグループ、おもに『エネルギーのもとになる食品』、3つ目は緑のグループ、おもに『体の調子を整える食品』です。どの食べ物がどのはたらきをもっているのか、フラッシュで勉強しましょう」―そう言って、『フラッシュ食育』の『3つのグループ』を使って、グループごとに食品の名前をリピート。提示される食品の背景にはグループの色がついているので、どの食品がどの色なのかを視覚的に覚えることができます。

 その後、笠原先生は「先生、大事なことを言い忘れました。この3つのグループの食べ物、バランスよくとってはじめて、体の中でうまくはたらきます」と言いながらいくつかのカードを裏返しにしていきました。カードの裏には色が塗られており、その食品がどのグループの食品かがわかるようになっています。「では、それぞれのチーム、カードを裏返してみましょう。3つそろって1点です」―代表者がカードを裏返しにしていくと、会場からは「ああー」という笑い声が。「あれれ!両方のチームともそろわなかったから、0対0で引き分け。さあ今度は、自分のチームが得点が取れるように考えてゲットゲームをしていきましょう。これで終わります」―会場は、一段と大きな拍手に包まれました。

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 続いて再び土井先生。今度は『フラッシュ基礎・基本』を使った算数の模擬授業です。まずは提示された分数が真分数か仮分数か帯分数かを答える問題に取り組みます。ここで、「5/5」のような、1に等しい分数が仮分数であることを確認します。次に、「□にあてはまる数を答えましょう」という発問に続いて「□/2=1」「□/3=1」のような問題に取り組み、1に等しい分数をすぐに答えられるように練習します。最後に、問題の表示順をランダムにし、列ごとに1人ひとり言ってもらい、全員が答えられたら拍手。1問1問慎重に答えていく参加者。周囲の先生方も息を飲みます。最後の問題を終え、フラッシュマンが「ナイス!」とほめてくれた瞬間、拍手がわき起こりました。

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 「4時間目は英語です。もう1時間で給食です。がんばりましょう!」―最後を飾るのは、菅野牧子先生(札幌市立山の手南小学校)による小学校英語の模擬授業。まずは『フラッシュ英単語』を使って、野菜の名前を次々リピートしていきます。順番をランダムにしたり、参加者だけで言わせたりして覚えた後に、キーワードゲームに取り組みます。「机の上に、3人にひとつだけクリップがあります。キーワードは“Celery”。“Celery”のときは、“Celery!!”と言いながら、机の上のクリップを取ります。では、“Touch your head...”」 “Cabbage.”“Carrot.” 徐々に会場の緊張感が高まって行き…“Celery.” パシッ!パシッ!というクリップを素早くとろうとする音が聞こえ、「やった~」「ああー」という声が会場のあちこちから上がりました。

 「皆さんもう野菜の言い方はバッチリなので、今度は好き嫌いを聞いていきましょう」『フラッシュ英単語』で提示された野菜の名前を使って、菅野先生の後に続いてリピートしていきます。“Cabbages”が表示されたら“Do you like cabbages?”というぐあい。続いて、菅野先生は、参加者に“Do you like cabbages?”と質問させ、“Yes, I do.”や“No, I don’t.”と答え方のお手本を示します。次に菅野先生が尋ねて、参加者が答えるという練習を行った後、インタビューゲームに取り組みます。「机の上にあるカードから、好きな野菜を3つ選んでください。相手に、“I like ○○. Do you like ○○?” と好きな野菜をきいて、相手が“Yes, I do.”と言ったら、ポケットにカードをしまうことができます。たくさんの人にインタビューをして、好みが合う人を見つけてください」このように、インタビューゲームなどに取り組んで、授業で学んだ表現をしっかりと覚えることができます。“Yes, I do.”と言われた参加者の嬉しそうな表情、“No, I don’t.”と言われた参加者の残念そうな表情が会場のあちこちで見られました。最後に、3枚ともカードをポケットにしまえた人を称えて、模擬授業は終わりました。

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パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは、日常的にフラッシュ型教材を活用している先生方からの実践発表が行われました。

 笠原先生は「教材の選び方のコツは、定番のものを選ぶことです。かけ算九九、県名。漢字の読みは、割石先生も使われていましたが、教材としてかなり良いです。教科書に合うように書き換えて使うのも良いし、市販の教材ならば簡単だしイラストもきれいだし、失敗がありません」「簡単なものから難しいものへ。一番簡単なのは答えつきの教材を、順番通りに繰り返すこと。できるようになったら提示順を変えたり、答えのない教材で速いテンポで次々提示したりするのがいいと思います」と、フラッシュ型教材の大事なポイントについて惜しみなく紹介されました。「短い時間でも何度も繰り返すほうが効果は大きいです。毎日5分間を1週間続けたほうが、一日に長い時間続けるよりも子どもたちはよく覚えます」という言葉には、長い間フラッシュ型教材を活用してきた笠原先生だからこその説得力があり、参加者は真剣な表情で聞き入っていました。

 菅野先生からは、小学校外国語活動の取り組みについてのご発表。「はじめは、すごく戸惑いがありました。発音、語彙量、そして英語は苦手と思っている自分…。大変だなと思っていました。そこで強い味方になってくれたのが『フラッシュ英単語』でした。ネイティブの発音を何度も聞けるので、子どもは耳が慣れてきますし、リピートして言っているうちに口にも馴染んできて上手に言えるようになります」「英語ノートにいろいろなゲームが載っていますが、ちょっと英単語を練習してから英語ノートのゲームに移るというように、『フラッシュ英単語』はすき間を埋めてくれます。反復学習が楽しくできるのもフラッシュ型教材の強みだなと感じています」と、ご自身の不安な気持ちをどのようにして克服されたのかについて具体的に紹介されました。最後に、「子どもたちが楽しく学んで自信もつく、私たち教師の時間の負担、心の負担が軽くなる。みんな笑顔になると思います」というお話には、参加者のうなずく姿が数多く見られました。

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総括講演

フラッシュ型教材活用セミナーin札幌

 セミナーを締めくくる堀田先生の総括講演では、「短い時間で子どもたちが楽しくできる繰り返し学習。それを実現するのがフラッシュ型教材です。新学習指導要領のキーワードは、習得、活用、探究。今までは習得の部分が少し甘かったので、習得させ、活用させるところまでを各教科で指導することになりました。しかし時数はさほど増えたわけではありません。今まで以上に時間の無い中で、効率よくきっちり習得させるために、フラッシュ型教材が注目されているというわけです」「これからのICT活用は、先端の人がやるものではなく、誰でもが使えるものでなければなりません。映す機器はプロジェクタでもデジタルテレビでもよいけれど、映す内容こそが、授業の充実さ、また子どもたちの学習の理解度に関係があるんです」という言葉に、シンプルで誰もが確実に使えるICTの重要性、限られた時数を効率よく使うため、子どもたちに力をつけさせるためにもフラッシュ型教材を活用することの大切さを、参加者は心から実感したようでした。

参加者の感想(アンケートより)

・フラッシュ型教材の活用の仕方がよくわかりました!模擬授業を体験できるっていいなあと思いました!
・みなさんと意見を出しあい、作成する機会があってよかったです。
・実践されている方の感じていることを聞けると日常化につながりますね!
・「私もやってみよう!」と思える実践ばかり紹介していただけてよかったです。
・活用の裏側にあるヒントをたくさんいただきました。
・楽しくご講演していただき、話に引き込まれました。フラッシュ型教材の活用の仕方、活かし方、実に理解できました。
・いろいろな教材での活用方法がよくわかり、実践してみようと思いました。

札幌市教育文化会館
開催地情報

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