フラッシュ型教材活用セミナー in 姫路

活用事例のご紹介

開催するたび、その盛り上がりは上昇の一途の「フラッシュ型教材活用セミナー」。9月5日、世界遺産であり国宝の姫路城を有する兵庫県姫路市に、県内外から103名の先生方が集まった。ノリの良さに、元気の良さもプラスした、活気あふれるフラッシュ型教材活用セミナーが展開された。

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フラッシュ型教材の効き目を「模擬授業」で体感

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【写真上から】
渡邉先生(国語):正しい送りがなの方を「右」「左」で答える。
清久先生(食育):主食や主菜などを覚え、あてはまるほうの手を挙げる。
岸本先生(音楽):音符をドレミで歌う。

 「漢字の勉強をします。どちらの送りがなが正しいでしょうか。右・左で答えましょう」...最初の模擬授業は、宮崎県三股町立勝岡小学校・渡邉光浩先生による「国語」。漢字の正しい送り仮名を答えるフラッシュ型教材だ。「親い|親しい」「異る|異なる」などのように、左右に配した漢字の送り仮名の正しい方を右・左で答える。ときどき、「映る|映える」「下がる|下る」のように両方とも正解の漢字も含まれているところがポイント。ドキドキ感や集中力が高まる工夫がほどこされていた。

 次に、静岡県富士市立富士南小学校・岸本厚子先生の「算数」の模擬授業。「小数の勉強です。読みましょう」まず提示されたのは「0.01」という数字。この小数の小数第一位はどの数字かを押さえた後、「小数第一位の数字を読みましょう」という発問のもと、次々に小数が提示される。一同が答えるたびに、岸本先生の「そうです!」「よくできました!」「優秀!」という褒め言葉が飛ぶ。何度でも褒めてあげられるのが、フラッシュ型教材の特長のひとつだ。岸本先生は、さらに「10倍した数を言いましょう」「100倍した数を言いましょう」と発問の難度を上げていく。参加者の先生方は、瞬時に答える難しさを感じつつも、必死についていった。

 続いて、兵庫県立こどもの館・清久利和先生の「食育」。「主菜です。料理名を言いましょう」という発問の後、目玉焼き、とりのからあげ、シチュー...のように、次々に主菜が提示され、参加者の先生方は大きな声で料理名を答える。清久先生の「大きい声が出ています!」「グッドです!」という褒め言葉が響きわたるたびに、元気づけられたようにどんどん会場の声が大きくなっていった。全員で答えた後、2回目はひとりずつ答える。これにより、緊張感がアップする。同様のやり方で「副菜・汁物」の料理名を覚えたら、最後に「どちらが主菜でしょう。主菜の方の手をあげましょう」という発問で、覚えた内容を確認する。会場からは、「できるかな?」と不安そうなざわめきがあったものの、始めてみればしっかり正解のほうの手をあげている人ばかり。フラッシュ型教材でしっかり覚えられることが自ら証明されたようだ。

 兵庫県内の市町村を覚えるフラッシュ型教材を披露したのは渡邉先生。兵庫県内にある「29市12町」のうち、姫路市の周りにある市と町を紹介していく。まずは先生について声に出した後、次は参加者だけで読む。同様に、近畿地方の都道府県名を紹介。今度はいきなり参加者だけで答えていく。自信がない場合でも、周りの声を聞きながら繰り返し答えているうちに、自然とできる、身につくようになっていく。

 模擬授業5連発を締めくくるのは、岸本先生の「音楽」。「ドレミで読みましょう」からスタート。ドレミファソラシドの音階をひとつひとつフラッシュ型教材で提示し、発声させる。ばらばらに提示しても読めるくらいまで覚えたところで、「ドレミで歌います。手拍子をしてください」と、岸本先生のリードで手拍子が始まった。岸本先生の美しいお手本の歌声に続いて、参加者も真似して歌っていく。「ドレミソラド、これは日本の音階のひとつです。四番目のファと七番目のシがないので、四七抜き音階と言います。皆さん、すばらしい歌声でした!」すかさず大きな拍手が起こり、5つの模擬授業を通してフラッシュ型教材のスピード感、先生の言葉がけなどあらゆることを体験した参加者の先生方のどよめきに、会場全体が包まれた。

フラッシュ型教材は、「教材づくり&授業づくり」にもつながる

 パネルディスカッションでは、まず富山大学人間発達科学部准教授・高橋純先生から、「模擬授業から学んだこと」として「フラッシュ型教材は、『明るく楽しいトーンで』『短い時間で』『声を出させ、そろえさせる』『とにかくほめる』ことで知識定着をさせるICTの教材です。学力向上に向けて、まずは基礎・基本の知識定着にしぼってICTを活用していきましょう」というお話があった。高橋先生は、今年の3月末に公開された『教育の情報化に関する手引』にも、基礎・基本の知識定着のためのICT活用の例示として「フラッシュ型教材」という文言が記載されていることを紹介され、なぜいまフラッシュ型教材なのかという背景も解説された。参加者の先生方は、フラッシュ型教材の効用を模擬授業で身をもって実感していたためか、非常に納得した表情で聞き入っていた。
さらに高橋先生からは、フラッシュ型教材ダウンロードサイト「e-Teachers」(http://eteachers.jp)を活用することで、教材を簡単に入手できることについても紹介があった。「e-Teachers」は、全国の先生方が作ったフラッシュ型教材を7、000以上アップしているサイトで、ほしい教材をダウンロードして使うことができる。Microsoft PowerPointのデータなので、自分のクラスに合ったものに作り替えることも簡単にできる。まさに、自作するとなると大変に思う先生にとって、心強いサイトである。

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パネルディスカッションでは、高橋先生によるフラッシュ型教材ダウンロードサイト「e-Teachers」の紹介や渡邉先生によるフラッシュ型教材活用のコツ、清久先生による校内研修での広め方についての紹介があった。

 次に、渡邉先生から「フラッシュ型教材活用のコツ」についてご発表があった。実際に活用している場面のビデオによって、普段の活用の様子が紹介された。「同じ教材を使って全員に言わせたり、一人ひとり指名して答えさせたりすることもあります。繰り返し声に出すことで覚えますし、適度な緊張感をもてるし、何よりほめられて嬉しい。基礎的・基本的な知識の確実な定着や、分かる喜びを実感できるのがフラッシュ型教材です」その後、具体的な「コンテンツ作りのコツ」として、「短い活動なので、簡単な言葉に絞り込んで指示をする。覚えましょうと言わずに『大きな声で言いましょう』と言うだけで子ども達はわかるし、声に出しているうちに自然と覚える。そして、『シートはコピーする』。アニメーションを使うのはそれだけで時間がもったいないので、使わない。子ども達の視線を固定させるためにも、コピーして同じ位置に問題が提示されるようにするのが良い」というお話があった。参加者の先生方は、セミナーに参加したからこそ聞くことができる具体的な「活用のコツ」のお話に聞き入り、熱心にメモをとっていた。

 清久先生からは「フラッシュ型教材の活用を広めるために」をテーマにご発表があった。「校内研でフラッシュ型教材作成ワークショップを行うのが良い。その際、模擬授業を行うのがとても効果的。いろいろな教科で見せることで、具体的なイメージを持ってもらうことができる。その後、パソコンではなく紙とマジックを使ってグループで教材を作成する。紙を使うことで、操作にとらわれることなく教材作成に集中できる」という清久先生の実体験に基づくお話は、参加者の先生方にもわかりやすく伝わったようだ。また、「作った教材をみんなで共有できるように、職員室のパソコンに共有フォルダを作って保存していったり、助けを求められたらできる限りすぐにかけつけてサポートしたりすることで、広まっていくと思います」と、担当者のサポートについても具体的なお話があった。

 2人の先生の発表を受け、高橋先生は、「フラッシュ型教材は誰にでも使えるというところが特長。学力向上、すべての教科で使えるし、誰にでも作れる。ダウンロードしてそのまま使うのも良いし、学級の実態に合わせて作り替えるのも良い。単なる電子ファイルではなく、教材作りや授業作りの話にもつながるものである。そのまま授業に使えるような内容を取り上げることで、校内研修の満足度の高い研修になりやすい」と話された。

『フラッシュ英単語/英語表現』で外国語活動を実践!

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早川先生:"He is my father."などの表現を覚えて、カルタ取りゲーム。
割石先生:数を覚えて数字ピラミッドゲームに取り組む。1~20までの数字を自由に15個決め、何個当たったかを競う。
早川先生:"What food do you like?" "I like ~"という表現を覚えて、グループで対話練習。尋ねる前に、相手の好きな食べ物を予想してカードを持つ。

第2部は「小学校英語フラッシュ型教材を活用しよう」と題して、3つの模擬授業が行われた。

静岡県静岡市立森下小学校・早川範子先生の明るく明瞭な"Hello、 everyone!"という声からスタート。会場は一気に「英語活動」ムード。「今日は、自分の家族を英語で何と言うか、勉強しましょう」という指示のもと、『フラッシュ英語表現』の"She is my mother." "He is my brother."という表現を順にリピートしながら、手元のワークシートの「家族」のイラストを指で押さえる。一通り終えたら、画面を隠して音だけでもう一度繰り返す。覚えたところで、カルタとりゲーム。グループ内で競い合う。ただし、普通にやるのではなく、音声が聞こえるまで手は頭の上。こうすることによってドキドキ感が増す。そして..."He is my father."各テーブルでバシッ!と勢いよくカードを取る音が聞こえた。その直後に喜びと落胆の入り交じった声が響き渡った。最後に、「このカードをとった人が、Winnerです!」という早川先生の声とともに、選ばれたカードは..."He is my father."各テーブルから、「あ~」「やったー」 という声が響いた。

 続いて、北海道札幌市立新琴似緑小学校・割石隆浩先生の模擬授業。まずは『フラッシュ英単語』の後に続いて、"One, Two, Three..."とリピート。次は少し変化をつけて、3の倍数のところではリピートせずに手をたたく。"One, two, (タン),four, five, (タン)..."という具合。少しずつ難度が上がる分、引っかかるまいと思う参加者の中には、思わず早く手をたたいてしまう人も。『フラッシュ英単語』を活用すれば、ワークシートがなくてもいろいろなゲームができるが、ワークシートを使えばさらにいろいろなことができる。割石先生は、15マスのピラミッドが書かれたワークシートを配り、数字ピラミッドゲームに取り組んだ。ルールは簡単。1~20までの好きな数字を15個選び、『フラッシュ英単語』が示した数字がいくつ合ったかを競う。"Eleven."と数字が表示されると、数字があった参加者からは"Yes!!"の声。10個の数字を示した後、何点とったかを全員で確認。10個ともあった参加者に大きな拍手が送られた。

 最後に、再び早川先生。「今日は、食べ物の勉強の続きをしましょう」という指示のもとに『フラッシュ英単語』に続いて"hamburger" "hot dog"と食べ物の単語をリピートしていく。2回リピートした後に、今度は先生が"What food do you like?"と尋ねるのに対して、"I like sandwich."のように対話形式でリピートしていく。"What food do you like?" "I like pizza."と、はずむようにリピートしていくと、だんだん英語独特のリズムに慣れてくる。その後、3人組を作ってグループで活動。一人の好きな食べ物を予想して、残りの二人はその食べ物カードを用意して手に持つ。そして、"What food do you like?"と尋ねる。予想された人は"I like ~."と答え、当たっていればお互いに1ポイントが与えられる。単純に好きな食べ物を尋ねて答えを聞くのではなく、相手の好きな食べ物を予想してカードを用意することによって、ドキドキワクワクした気持ちが高まるのが、この模擬授業のポイントだ。参加者の先生方は、互いの好きな食べ物を尋ねあい、大盛り上がり。英語でのコミュニケーションの楽しさを感じているようだった。

『フラッシュ英単語』は『英語ノート』にも効く!

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第2部のパネルディスカッション。チエル株式会社より教材についての解説、割石先生からは自校の英語活動の実践報告があり、高橋先生によるまとめが行われた。

 模擬授業の後は、「小学校で英語活動を楽しく、気軽に取り組むために」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
まず高橋先生から、小学校外国語活動の目標におけるフラッシュ型教材の位置づけについて解説がなされた。「フラッシュ型教材は、小学校外国語活動の目標のうち、『外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませ』るというところに特にあてはまる。また、『音声を取り扱う場合には、CD、DVDなどの視聴覚教材を積極的に活用する』という点に関しては、ネイティブの発音やイラストを通して、慣れ親しませることができるのではないか」と話された。

 続いて、チエル株式会社の三好亜理紗から、模擬授業で活用された『小学校のフラッシュ英単語』についての紹介が行われた。「教材は『名詞編』『動詞・形容詞編』『英語表現編』の3巻。使い方はすべて同じです。タブごとに教材を切り替え、絵と文字の組み合わせによる4つのパターンから提示する教材を選ぶだけというシンプルなもの。その分、先生方が工夫しやすい教材です」という話があった。

 割石先生からは、自校の外国語活動の取り組みについて。「決して外国語活動が盛んであるというわけではないが、校内研修を充実させ、誰にでもできそうな授業イメージを作ることが大事だと考えている」というお話があった。「英語ノートはとても優れているが、いきなり使うのは難しい。そこで、楽しく、誰にでもできそうだと思わせる校内研修のために『フラッシュ英単語』を活用している。『フラッシュ英単語』でワンクッションおいてから英語ノートに取り組むのがとても良い」というお話に非常に説得力を感じた。参加者は大きくうなずいていた。
これら二つの発表をもとに、高橋先生は、「誰にでも使えるくらいシンプルに作られている教材なので、先生の授業にフィットするし、英語ノートとの併用にも便利に使える。また、学級全体で盛り上がりながら、いつの間にか楽しく何度も繰り返し学習でき、単語や表現の知識が身についていく」とまとめられた。

「フラッシュ型教材は、単純だから、良いのです」

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堀田先生による総括後援。フラッシュ型教材は、基礎・基本のうち「知識・技能」に関することに効果がある。

 セミナーの最後は、玉川大学学術研究所准教授の堀田龍也先生による総括講演。 

「フラッシュ型教材を活用した現実的なICT活用」と題して、なぜいまフラッシュ型教材が注目されているのかについて解説がなされた。「文部科学省が定義する基礎・基本には様々なものがある。知識・技能、判断力、学ぶ意欲、問題解決能力...。そのうち、フラッシュ型教材が効くのは知識・技能の定着の部分です。ときどき、『フラッシュ型教材では問題解決能力が身につかない』と批判する人がいますが、効くところが違うのだから当然です。また、『フラッシュ型教材は単純すぎる』という批判も聞きますが、単純だからいいんです。教材が単純だからといって授業が単純であるということはありません。それに、万能な教育方法なんてないんです。だからこそ教師が、身につけさせたい知識を、フラッシュ型教材のようなICT教材を活用して子ども達に確実に身につけさせていくことが大切なんです」
お話に聞き入り、静まりかえっていた会場は、講演が終わると同時に大きな拍手に包まれた。
これまで以上にノリノリのセミナー。「さっそくe-Teachersに登録してやってみよう」「自分にもできそうなICT活用が見つかった気がする」と興奮気味の声も聞かれ、会場を後にする参加者一人ひとりの表情には満足感が漂っていた。