フラッシュ型教材活用セミナー in 八戸

活用事例のご紹介

10月24日、冬の寒さを感じさせる青森県八戸市で、「フラッシュ型教材活用セミナー」が開催された。今回から新たに加わった「フラッシュ型教材作成・活用 体験演習」では、"フラッシュ型教材"作りで大盛り上がり。県内外からの53名の先生方も大満足のイベントとなった。

どの教科にも効くフラッシュ型教材

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▲「模擬授業4連発!」の様子【上から】
土井先生(理科):実験器具の名前を答える。
岸本先生(算数):提示された小数の小数第一位や10倍や100倍した数を答える。
土井先生(算数):提示された角度が90度より大きいか小さいか答える。
岸本先生(音楽):ドレミで歌いながら和音を覚える。

 「器具の名前を答えましょう」...最初の模擬授業は、徳島県東みよし町立三庄小学校・土井国春先生による「理科」。「試験管」「ビーカー」などのイラストや写真を見せて名前を言い、正しく覚えられたかどうか、もう一度取り組んで確認する。「繰り返しによる定着」の効果を感じることができた。

 次に、静岡県富士市立富士南小学校・岸本厚子先生の「算数」の模擬授業。「小数の勉強です。読みましょう」まず提示されたのは「0.25」という数字。数字を読み、小数第一位はどの数字かを押さえた後、「小数第一位の数字を読みましょう」という発問のもと、「1.09」「2.48」など次々に小数が提示される。答えるたびに、岸本先生の「そのとおり」「そうです」「その調子!」という褒め言葉が飛ぶ。続いて「小数第二位の数字を読みましょう」「10倍した数を言いましょう」「100倍した数を言いましょう」と続いていく。同じ数字を提示しても、発問が違えば問題の難易度は変わる。先生が難易度をコントロールできるのも、フラッシュ型教材の特長のひとつだ。

 続いて再び土井先生。こちらも「算数」だが、内容は角度を答えるというもの。注目は、やはり発問の変化。「角の大きさは何度ですか。大きな声で読みましょう」と言ってシンプルに角度の大きさを読ませた後「90°よりも『大きい』か『小さい』かを答えましょう」という発問に。提示している問題は同じだが、発問が変わると難易度も変わる。

 模擬授業4連発の締めくくりは、岸本先生の「音楽」。「ドレミで読みましょう」からスタート。ドレミファソラシドの音階をひとつひとつフラッシュ型教材で提示し、ランダムでも発声させる。その後、タンバリンのテンポに乗って、岸本先生に続いて参加者も真似して歌っていく。「ドミソ これはI度の和音と言います。ドファラ これはⅣ度の和音 シレソ これはⅤ度の和音 と言います。」再度和音を歌って確認。「今日はこの和音を使って歌に伴奏をつけましょう。」4つの模擬授業を通して、フラッシュ型教材がさまざまな教科で活用できることを実感。参加者の中には驚きの表情を浮かべている人も。

「フラッシュ型教材作成・活用 体験演習」で、教材作りのイメージをつかむ

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▲「作成・活用体験演習」の様子。グループで一つ教材を作り、グループ内で披露した後、さらに二つ作って他のグループへ紹介する。

 スピード感たっぷりの模擬授業を体験した後は、「フラッシュ型教材作成・活用 体験演習」で教材作りのコツをつかむ。進行は富山大学人間発達科学部准教授・高橋純先生。参加者の手元には、リングでまとめられた紙とマジックが配られた。
高橋先生は参加者を座席ごとに4人のグループに分け、「まずは、班長を決めます。グループで話し合って班長を決めてください」と指示をされた。続いて班員同士で自己紹介。演習に取り組む前にまずは自己紹介をすることによって、初対面でもすぐに打ち解け、会場は一気に和やかなムードになる。和やかになったところで高橋先生は次の指示を出した。「演習は全部で3ステップありますが、今日は2ステップまでをやります。まずは試作ということで、班でひとつ作ってもらい、その後、さらに二つ作ります。」
いよいよ演習がスタート。「まずはテーマを決めます。班長さんリードで。」高橋先生からひとつひとつ細かく丁寧に指示がされるので、参加者は戸惑うことなく演習を進めて行く。演習の流れは次のようなもの。まずは作る教材のテーマを決める。かけ算や漢字の読み、地図記号など、班でひとつテーマを決めたら、ひとり一枚問題を書く。次に各自が作った問題を、どのような順番で提示するのかを決める。このとき気をつけることは、「易しい問題→難しい問題」の順番が基本であるということ。提示順を決めたら、最後に発問を決める。発問を決めるときの注意点は「解がひとつになるような発問にする」ということ。発問を書いてリングで留めたら、できあがり。できあがった教材を、班長が持ち役になってグループでやってみる。自然と拍手が起こったり、笑いが起こったりなどして、一番盛り上がるのがこの瞬間だ。
「これで1クールです。次は班でペアになって二つ作ります。まずはテーマを班で決めましょう。」高橋先生からの指示で、参加者は再び教材作りに取り組む。高橋先生は、ここからは多くの指示は出さずに参加者に任せて進めていった。参加者も、一度体験しているので、今度は慣れた様子で教材作りを進めていく。
「いま、班には三つの教材があると思います。いまから班長は、自慢の教材を持って各班を回ります。班で自慢の教材をひとつ決めてください。」いよいよ演習も最後の活動。他の班への教材披露の時間だ。教材を持って隣の班へと旅立つ班長を、班員は拍手で見送る。そして、別の班の班長による教材に取り組む。終わったら次の班へ...と続く。この活動によっていろいろなフラッシュ型教材を体験することができ、他の班の作った教材から学ぶことができる。会場は、教材を自慢げな表情で見せる参加者や、他の班の作った教材を体験して「なるほど」という表情を浮かべている参加者などで盛り上がった。

フラッシュ型教材は食育や英語でも活用できる

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▲笠原先生による「食育フラッシュ型教材を活用した模擬授業」の様子。一つ目の模擬授業は、給食のマナーで良いマナーには「まる」、悪いマナーには「ばつ」を作って答える。二つ目は「3つのグループ」を覚えさせるもの。赤、黄、緑をバランス良く組み合わせることの大切さをおさえる。

 続いて第2部は、「食育フラッシュ型教材を活用しよう」「小学校英語フラッシュ型教材を活用しよう」と題して、模擬授業が行われた。
「みなさん学校で一番好きな時間はなんですか?給食?先生も給食の時間大好きです。これから給食の時の絵をいくつか見せます。何をしているところでしょうか」
冒頭で一気に参加者の心をつかんだのは、群馬県前橋市立桂萱東小学校・笠原晶子先生。『フラッシュ食育』を使って、『給食のマナー』の絵をひとつひとつ提示していく。参加者は、提示される絵を見て各々感想をつぶやいている。すべて見終えたところで「では、今度は先生の後に続いて一緒に言ってください」そう言って、笠原先生は先ほどの絵に文字が足された画面を順番に提示して読ませる。「あいさつをする。協力して準備をする。好き嫌いがたくさんある。...」
すべて読み終えたところでさらに笠原先生は問いかけた。「いま、いいことと悪いことがあったのに気がついた?...みんな自信がありそうだね。じゃあ、いいことだったら『まる』と言いながら大きく丸を作ってください。悪いことだったら、『ばつ』と言いながら大きくばつを作ってください。○×ゲームだよ。手に何か持ってる人は置いてね。」すっかり参加者の心をつかんだ笠原先生。もう一度『フラッシュ食育』の絵を見せて「さんはい」という声に続いて「まる」か「ばつ」を作らせていった。「この後、グループで○×ゲームをしたいと思います、と言って子ども達にやらせます。」
間髪入れず、二つ目の模擬授業へと移る。
「次は食べ物の3つの働きについて勉強します。今日は食べ物ゲットゲームをします」参加者を元気チームとモリモリチームに分け、代表者が前に出る。じゃんけんをして、勝ったら黒板に貼られた食べ物のカードを3つゲットでき、負けたら1つだけゲットできるというもの。じゃんけんで、互いに次々食べ物をゲットしていったところで、笠原先生から次のような指示があった。「食べ物はそのはたらきで3つに分かれています。赤のグループは、おもに『体をつくるもとになる食品』、黄色のグループは『エネルギーのもとになる食品』、緑のグループは『体の調子を整える食品』です。どの食べ物がどのはたらきをもっているのか、フラッシュで勉強してみましょう。」そう言って、『フラッシュ食育』『3つのグループ』を使って、3つのグループごとに食品の名前をリピート。提示される食品の背景にはグループごとに色がついているので、どの食品がどの色なのかを視覚的に覚えることができる。
3つのグループの食品をリピートした後、笠原先生は黒板に貼られた食べ物のカードを裏返しにした。カードの裏には色が塗られており、その食品がどのグループの食品かわかるようになっている。「食べ物は、どれかひとつだけじゃだめなんだよ。3つをバランス良くとらないと元気になれないです。元気チームとモリモリチームが選んだ食べ物はどうでしょうか。裏返してみてください。」代表者がカードを裏返しにしていくと、会場からは「ああー」「おー」という声が。「3つそろったら1点です。元気チームは2点。モリモリチームは1点。残念!元気チームの勝ちでした。今度は、3つグループのことをもう少し考えてやってみましょう。これで終わります。」会場からは、大きな拍手が起こった。

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▲石井先生と表先生による「小学校英語フラッシュ型教材を活用した模擬授業」の様子。石井先生は、「職業」の単語を覚えさせた後、ヒントを出して代表者が答える連想ゲームで会場を盛り上げた。表先生は、国の名前と行きたい国を尋ねる表現を覚えた後、互いにインタビューする活動で締めくくった。

 食育の模擬授業の興奮冷めやらぬ中、"Hello、 everyone!"という声で一気に会場を「英語活動ムード」に切り換えたのは、青森県八戸市立根城小学校・石井一二三先生。
「今日は職業の勉強をします。大きな声で読みましょう。」そう言って、『フラッシュ英単語』の『職業』を次々提示していく。2回やったところで石井先生は参加者の中から2人を指名する。「今から、連想ゲームをします。ヒントマンは、アンサーマンにヒントをあげてください。会場の皆さんは、アンサーマンの答えが間違っていたら、"No!"、正しい答えだったら"Yes!"と言いながら手元の○×のカードを見せて教えてあげてください。」アンサーマンは、画面に後ろ向きに立ち、ヒントマンは画面を見てアンサーマンにヒントを出す。一問目は"actor" ヒントマンに選ばれた参加者が、まるで本物の"actor"であるかのような見事なジェスチャーを見せ、会場を盛り上げた。アンサーマンの"ac...tress..."という声に会場は一斉に"No!"のカードを示す。再びヒントマンが見事なジェスチャーを見せ、アンサーマンからは"actor!" 会場からは大きな"Yes!"の声が上がった。

 続いて、富山県氷見市立明和小学校・表克昌先生の模擬授業。"Hello! Today、 we talk about countries. Repeat!" 『フラッシュ英単語』の『国』を次々提示し、参加者は教材に続いてリピートしていく。まずは絵のみの画面、次に文字を入れた画面、そして最後には教材の音声をオフにし、子ども(参加者)だけで言わせる。"Repeat!" "Only students."など、表先生の指示の言葉はすべて短く、活動はシンプル。会場は一気に表先生のペースに引き込まれていった。
そして"Let's play かるたゲーム! " 教材から聞こえてくる音だけを聞いて、隣の人とカルタゲームに取り組む。もちろん、"Put your hands on your head."でどきどき感はUP。会場が静寂に包まれ..."America." バシッ!バシッ!『フラッシュ英単語』の音声が聞こえた瞬間、かるたをすばやく取る音が会場のあちこちで響いた。そしてすぐに「やったー」「ああ~」という喜びと落胆の声が聞こえた。カルタゲームは大盛り上がり。"Winner"に拍手が送られた。
さらに表先生は、旅行のパンフレットを見せながら一人を指名し、"Where do you want to go?" と尋ねた。指名された人の答えは"I want to go to Australia."表先生はその表現を全員にリピートさせて練習させた後、『フラッシュ英語表現』の『どこに行きたい?』『答えてみよう』を使って、"Where do you want to go?" との教材の問いかけに"I want to go to ~." と全員で答えさせていった。さらには、"Where do you want to go?"の表現をリピートさせて練習させた後に、『まねして言おう』を使って、問いかけて教材に答えてもらうという活動も。存分に表現を練習したところで、最後はインタビュー。周囲の人にインタビューをして、名前と行きたい国をワークシートに書き込む。たっぷり英語表現に触れた模擬授業だった。
続いて再び石井先生による模擬授業。「今日はバルーンゲームをやります。その前に、今日使う単語の復習から始めましょう」そう言って、『フラッシュ英単語』の『教室1』の"book"や"dictionary"などを順番にリピート。覚えた後はいよいよバルーンゲーム。4人一組になり、風船を下に落とさないように気をつけながら、画面に提示されたイラストの単語を一人一つずつ発音していく。提示された単語をしっかり発音できるかというどきどき感と、風船を下に落とすまいというどきどき感がミックスされ、会場はすっかり大盛り上がり。"Good job!" フラッシュマンの褒め言葉が聞こえたときに、まだラリーを続けられていたチームは合格。残念ながらラリーを続けられなかったチームにもとても楽しそうな表情が見られた。
3つの模擬授業を通して、参加者は「楽しく学ぶ」小学校英語活動をたっぷり堪能した様子だった。

『フラッシュ英単語/英語表現』は『英語ノート』にも効く!

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▲パネルディスカッションの様子。高橋先生によるフラッシュ型教材が注目されている背景の解説やe-Teachersの紹介が行われた。

 模擬授業の後は、「フラッシュ型教材で英語活動や食育を楽しく、気軽に取り組むために」というテーマでパネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションでは、まず富山大学人間発達科学部准教授・高橋純先生から、「フラッシュ型教材の背景」として次のような話があった。「学力向上が叫ばれている中、限られた時間で成果を上げることが課題になっている。学力向上にICTの効果が期待されているが、ICTをどのように使えばよいのかということもまた一方で言われている。教育の情報化の立場から考えれば、ICT活用指導力を高めることが必要であるけれど、難しい研修をするよりは気楽に、便利に使えると思っているうちにICT活用指導力が高まるような研修のほうがよい。我々はまずは知識定着の場面で、やりやすいところから成果を積み重ねていこうと考えている。」
2009年3月に示された『教育の情報化に関する手引』には、変化に富んだ繰り返し学習が可能になり、知識定着に効くICTとしてフラッシュ型教材が例示されている。フラッシュ型教材が注目されているのはこのような背景があるのだ。
続いてフラッシュ型教材ダウンロードサイト「e-Teachers」(http://eteachers.chieru.net/)を活用することで、教材を簡単に入手できることについても紹介があった。「e-Teachers」は、全国の先生方が作ったフラッシュ型教材を9,000以上アップしているサイトで、ほしい教材をダウンロードして使うことができる。Microsoft PowerPointのデータなので、自分のクラスに合ったものに作り替えることも簡単にできる。自作するとなると大変に思う先生にとって、心強いサイトである。
さらに高橋先生は、教材作りの楽しさと難しさについても触れていった。「教員免許取得を目指す学生にフラッシュ型教材を作らせたとき、『ソ』って答えさせたいといってこんな教材を作った。けれどもほかの学生は答えられない。教材作りって楽しそうだけど、正確に作って正確に教えるというのは教師にとっても良い勉強。では何と発問したらいいのか。この『K』という問題。すごく単純ですが、小学校の外国語活動だったら『K』と読むし、中学校で元素記号のカリウムだと答えさせるかも知れません。すごくシンプルなんだけど非常に意味がある教材が作れる。こういう内容にすると、満足度の高い研修になりやすい。」

 次に、フラッシュ型教材を毎日のように活用しており、学校全体でも取り組んでいるという笠原先生からの実践発表。「今まで紙でやっていた先生もいたんですが、紙よりもよく見えるし、子どもが『見えない』って言うこともないので便利、ということで使っています。活用場面は授業のはじめの2~3分が一番多いです。とにかく覚えさせたいこと、反射的に答えられるようになって欲しいことなどをやりますが、一番多いのは漢字の読みです。問題の順番を変えるとか、文字だけ書き換えるということは簡単なので、よくやっています」笠原先生の言葉に真剣に聞き入る参加者。高橋先生から、「フラッシュ型教材を使って変わったと思う点」について尋ねられると、「子どもの声が大きくなりました。学校全体でそうなっています。発言のときの声も大きくなるので、友達の発言も聞けるようになるし、聞かせられる。話し合い活動も活発になって良い循環がある」とお答えになり、フラッシュ型教材の効果を実感している様子が伝わってきた。

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▲パネルディスカッションの様子。フラッシュ型教材を活用した日常の実践の様子、教材のデザインが紹介された。

 フラッシュ型教材は、教科だけでなくいろいろな場面で使える。食育や英語はその一例だ。チエル株式会社の三好亜理紗から、模擬授業で活用された『小学校のフラッシュ食育』についての紹介が行われた。
「たとえば『うどん』を提示して『うどん』と言わせたい場合もあれば、『主食』と答えさせたい場合もある。さらには二つの料理のうち『主食』はどちらかを答えさせたいような場合もあると思います。『フラッシュ食育』は、シンプルだけれど授業で使いたい場面に合わせた提示ができるので、いろいろなタイプの繰り返し学習ができる」という話があった。
続いて、この教材を使った実践について、笠原先生からのお話。「すごく楽しく使っています。私の学校では年に1回くらい栄養士さんが来てくれて指導してくれるんですが、日常的な指導はあんまり進んでいませんでした。でも、そういう指導の大切さは感じていました。ただ、準備にそんなに時間をかけられないし...という悩みがありました。」
食育の必要性を感じながらも、準備の大変さや、使いやすい教材があまりないことなどに悩みを抱えていたという笠原先生。「でも、『フラッシュ食育』に出会ってからは、給食の前のちょっとした時間で手の洗い方とかマナーを覚えさせるようにしています。野菜の名前、主食・主菜・副菜・汁物、3つのはたらきなどは、給食委員会で使ってみたいという声もあります。全校朝会だと準備物が大変だけどこれなら大きく映せばいいので。『手の洗い方』は印刷して、掲示資料として使っています。」食育のための教材がないと感じていた笠原先生にとって、理想的な教材であったと言える。
また、子ども達それぞれの体験の違いで、先生が「当然知っているだろう」と思っている野菜の名前を知らない子も少なくないという。お箸のマナーを教わっている子もいれば、そうでない子もいる、そんな子ども達の実体について、常々感じてはいたけれど、ここまでだったのかと改めて実感したとのこと。高橋先生は、「お箸の使い方も給食のマナーも、きちんとしていない場面に出くわせば先生方は指導をされるはず。でも、教材を使うことによって一覧で出てくるから、そういう問題があぶり出されて指導できるということですね」と付け加えられた。

 パネルディスカッションは次の話題に移る。平成23年度から完全実施となる新学習指導要領では、5・6年生で週1コマ「小学校外国語活動」が実施される。原則として英語が扱われることをふまえて制作された、『小学校のフラッシュ英単語/英語表現』についてチエル株式会社の三好から紹介。「『名詞編』『動詞・形容詞編』『英語表現編』の3つがあります。『財団法人 日本英語検定協会』に編集協力をいただき、小学校で英語活動に取り組むために必要な単語や表現を選定して収録しています。すべての単語や表現にネイティブの音声が付いているといます。また、イラストと文字を組み合わせた4つのパターンで提示ができるので、いろいろな活動に使えます。」
続いて、この教材を使った実践について、表先生からお話があった。
「文科省が配布している英語ノートデジタル版には音声もあるが、今日模擬授業でやった国の名前などを練習する場はあまりない。外国語活動のねらいの『コミュニケーション能力の素地を養う』ことの下には、単語を知っているとか表現を知っているということがどうしても必要」
表先生は、『フラッシュ英単語』を使って、子ども達に楽しく英単語を覚えさせているが、ただ全員でやるだけではなく、きちんと全員が全部言えるかどうかチェックするという。『単語マスター』という表を子どもに持たせて、合格したらどんどんシールが増えていくような方法にしているので、子ども達は緊張感を持ちながらも楽しくやっているとのこと。ここで、高橋先生から誰もが聞きたかったと思われる質問が。「ちなみに表先生は英語は得意なんですか?」表先生は「高橋先生もよくご存じと思いますが、ほんとにバラバラ英語で...。この教材を使うと教師の練習にもなるんです」と。高橋先生からは、「僕もこの教材を作るときに、バグ取りで何度も繰り返し聞いたのですが、だんだん耳が良くなっていく気がしました。語学の習得はほんとに繰り返しなんだなと思いました。場数を踏むのももちろん大事なことですが、それより前に自信をつけるための繰り返し練習することが大事なんだと。」
5つの発表をふまえて、高橋先生によるパネルディスカッションのまとめがなされた。「フラッシュ型教材の良さは、先生だったら誰にでも使えるということ。子どもも保護者も先生も学力向上を望んでいるけれどなかなか上がらないところに悩みがある。すべての教科に基礎的な内容はありますので、授業の導入やまとめのときにフラッシュ型教材を使ったら良いということです。e-Teachersには無料の教材があるし、有料で質の良い教材もある。PowerPointなら共有も簡単。誰にでも作れる。演習でやったように、紙でつくったものをPowerPointに直すのもいい。単なるPowerPointファイルと考えるよりは、これはもはや教材だと思います。この教材の研修は、すぐに授業に役に立つことがたくさんありますし、満足度の高い研修になりやすい。」
さらに英語と食育については、英語は先生の苦手な部分を助けてくれるし、食育は身についてないことがたくさんあることに気づかされたりする。操作が非常に直感的で簡単。大実践をやって欲しいということではなく、授業の短い時間で繰り返して使ってほしいという思いで作っているから先生の授業にフィットする。パソコンと子どもが向き合うのではなくて、一斉指導型の教材だというところ。いつの間にか楽しく繰り返し学習ができる仕掛けがある。順番を変えられたり、きれいなイラストがついていたり。ぜひ先生方にはe-Teachersで無料の教材を使ってほしいですし、もしも英語や食育がいいなと思ったらそちらも使ってほしい」と。パネルディスカッションは大きな拍手をもって終了した。

「ICTの操作ではなく、具体的な授業技術を身につけるための研修が大事」

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▲総括講演「フラッシュ型教材を活用した現実的なICT活用」の様子。「特別な人、特別な教室でしかできないICTではなく、日々の授業や学級作りに役立つ活用でなければならない」との言葉に参加者は真剣に聞き入っていた。

 模擬授業、作成・活用体験演習、パネルディスカッション、ここまでのすべてのセッションを総括されたのは、玉川大学学術研究所・堀田龍也先生。『フラッシュ型教材を活用した現実的なICT活用』として次のようなお話があった。
「ICTの活用は、特別な人しかできない、特別な教室に行かないとできない、というのではダメなんじゃないかと思います。日々の授業や学級作りに役に立たないと。頭痛の時に頭痛薬を飲むように、薬には効能があります。頭痛のときに胃腸薬を飲んで効果がないのは、薬が悪いですか?飲んだ人の問題ですよね。文部科学省が示す基礎・基本にはいろいろあります。『フラッシュ型教材』という薬はどこに効くか?知識・技能のところです。しかも全員にきちんと覚えさせたいという場面に効きます。瞬間的に答えさせるとか、いちいち手で計算せずに自動化されていてほしい、そういう内容の時に効く教材です。」
そして、「私たちが考えているICT活用は、下支えするということを教師が毎日やっているはずだから、そこにICTを使うことによって、毎日役立つようにならないかというもの。
ジューサー&ミキサーのように、高機能で高価で、お客さんが来たときとか稀にしか使われないものより、絞り器やおろし金、泡立て器のように、ひとつのことに使えるものがいい。これなら毎日使いますよね。現実に必要な場面があれば毎日やります。多機能・高機能で派手なものより地味だけど日常にあるもの、役に立つものとして考えていきたい。フラッシュ型教材はその代表格。忙しい毎日でもICTを使うと子ども達が元気になり、そんな子ども達を見て先生も元気になる、そんなICT活用にしたい。」
真剣な表情で堀田先生の言葉に聞き入っていた参加者の先生方、会場を後にするときの充実した表情が、セミナーの成功を物語っていた。