フラッシュ型教材活用セミナー in 三好

活用事例のご紹介

  4月18日、徳島県三好市で「フラッシュ型教材活用セミナー」が開催された。今回の舞台となった三好市は、全教室へのスクリーン、プロジェクター配備など、教育現場のICT化に積極的に取り組んでいる地域。会場の三好教育センターには、ICTに関心の高い地元や近隣の先生方約70名が詰めかけた。

フラッシュ型教材の「模擬授業」が続々と...

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【写真上から】
本多先生(理科):白衣に映像(独立行政法人科学技術振興機構「理科ねっとわーく」より)を映して体の器官の位置と名前を学ぶ
土井先生(社会):地図記号とその元になった建造物や道具を学習
玉置先生(国語):漢字の間違いやすい部分をフラッシュで確認

 スクリーンに大きなそろばんの盤面のイラストが映し出されると同時に、本多 博先生(長崎県教育センター)が参加者に向かって呼びかけた。
「今日はそろばんの読み方の復習をします。私が先に読みますから、続けて読んでくださいね」
場内はイスひとつの空きもない文字通りの満席で、窓の外の陽気をはるかにしのぐ熱気が漂う。
「一の位、十の位、百の位...」
画面をテンポよく切り替えながら本多先生が読み上げていくと、会場の先生方がそれに続いて繰り返していく。普段は教壇に立っている先生方も、今日は子ども達の役。 
これは、フラッシュ型教材を活用した模擬授業のひと場面。セミナーの第1部では、「模擬授業5連発!」と題して、算数・食育・社会・理科・国語の順で披露された。1教科の持ち時間はわずか3分。短時間の活用にも適しているフラッシュ型教材だからこそ、実際の授業での活用法をイメージしやすいようにと考慮された構成だ。
トップバッターの本多先生は理科も担当。白衣を羽織った自身の体に、プロジェクターを通して、人体の器官の映像を投影した。さながら「フラッシュ型人体模型」といったユニークな活用法だが、器官の位置がより明確にイメージできたようだ。

社会科を担当されたのは、地元・徳島の土井国春先生(東みよし町立三庄小学校)。土井先生が、鳥居を記号化したイラストをスクリーンに大きく映し出した。その地図記号について質問すると、すかさず「神社!」と答えが返ってきた。
「そう、これは神社です。このように建物を表す地図記号には、建物にあるものや、使われている特徴的なものを記号化したものがよくあります」
「消防署」は「さす股」を記号化したもの、「税務署」は「そろばん」を記号化したもの...といった具合に、土井先生は、記号とその元になった道具などの写真を並べたフラッシュを作成して、より印象深く地図記号を覚えられるように工夫をされていた。

玉置玲奈先生(世田谷区立砧小学校)は食育と国語を担当。身近な野菜をテーマにしたフラッシュでは、ピーマン、だいこん、たけのこなどの写真が色鮮やかに登場。子ども達が普段目にする収穫後の姿だけではなく、収穫前の写真も映し出すことで、野菜の育ち方についても学ぶことができる。
一方、国語では小学校1年生の漢字をスクリーンに映し出した。
「漢字が合っていたらマル、間違っていたらバツで答えましょう」
玉置先生の指示を皮切りに、点の位置が反対の「犬」、横棒が一本足りない「月」がパッパッと切り替わっていくと、会場からは「バツ!」と間髪入れずに声があがっていく。テンポよく展開するフラッシュ型教材だからこそ、会場の先生方も自然とリズムに乗っていったようだ。模擬授業に登壇した先生方との間に、確かな一体感が生まれていた。

フラッシュ型教材のポイントは「全員ができること」「短時間での活用」

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地元・三好地区の中川先生、土井先生もパネルに登壇

 続いて行われたパネルディスカッション「フラッシュ型教材を活用した実践の可能性」は、高橋 純先生(富山大学人間発達科学部)、地元ゲストの中川斉史先生(東みよし町立足代小学校)、模擬授業に続いての登壇となった土井先生の3氏で行われた。
高橋先生「(文部科学省の)『教育の情報化に関する手引』には、繰り返し学習にICT活用が効果的、とあります。基礎・基本の知識定着を図る繰り返し学習は単調になりやすいものですが、変化に富んだ繰り返し学習が可能なフラッシュ型教材の活用の有効性について書かれているのです」
手軽に活用できるフラッシュ型教材として、高橋先生は無料のフラッシュ型教材サイト「e-Teachers (http://eteachers.jp/)」を紹介。e-Teachersでは、現在、約6,500のパワーポイント形式のフラッシュ型教材がダウンロードできる。

続いて登壇した土井先生は、フラッシュ型教材の特長を「全員ができる、間違えさせないこと」と語った。
「子どもはほめられると本当に喜ぶし、ほめ言葉を聞いて前向きになります。フラッシュ型教材で簡単な問題を何度も解かせて『できる、できる!』と雰囲気も盛り上がっていきます。全員が答えられることを前提にしているので、これを書くとあの子は答えられないのでは...、教材を作りながら子どものことを思うのも、フラッシュ型教材のいいところと感じています」

一方、中川先生は、全教室のプロジェクター配備などICT環境が整っている三好地区の現状から報告した。
「三好地域の小中学校の先生を対象にした『できるようになって1年未満のICTスキル』アンケート結果によると、フラッシュ型教材に関係する項目が上位にくいこんでおり、定番化しつつあることがうかがえます。フラッシュ型教材は、利用方法を間違えてはいけません。薬の『用法用量を守って正しくお使い下さい』の如く、きちんと使い方を守れば効果があります。フラッシュ型教材は、授業以外のすきま時間(朝読、朝ドリル、給食の時間など)の3~4分間の活用で十分なのです」

『フラッシュ英単語』は、明日から使えるシンプルなデジタル教材

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【写真上から】
早川先生(英語):英単語のかるた取りゲームで会場がヒートアップ
表先生(英語):スポーツの英単語を「フラッシュ英単語」で復習

 第2部は、「小学校英語フラッシュ型教材」にテーマを移し、模擬授業とパネルディスカッションが行われた。
早川範子先生(静岡市立森下小学校)は、2つの模擬授業を担当。最初の授業では、『小学校のフラッシュ英単語(名詞編)550』を使ったかるた取りゲームを展開した。早川先生の指示で、会場の先生方はそれぞれのテーブルにかるたを広げて、頭の上で両手を組んで待った。
"Pizza."
スピーカーから流れたネイティブの音声を号令にいよいよかるた取りがスタート。
"Salad."
"Hotdog."
次々に読み上げられると、その度に会場がワッと大きく湧き上がった。かるたとして使われたカードは、『フラッシュ英単語』のイラストデータを印刷して作ったものだ。

模擬授業に続いて、第2部のパネルディスカッションに登壇した表 克昌先生(富山県氷見市立明和小学校)は、『フラッシュ英単語』の活用例を紹介した。
「『いきなりフラッシュ』という活動があります。チャイムが鳴ってみんな戻ってきた時にはもうフラッシュを始めているので、子ども達に『早く来たほうが楽しい。早く来なきゃ』という雰囲気が生まれます。日常的に英語を使うことはとても大事です。朝の挨拶、朝の会のほか、算数の時間のほめ言葉にも"Excellent!"という風に英語を使っています」

また『フラッシュ英単語/英語表現』の制作担当、弊社の三好亜理紗より、英単語や表現を選定するにあたり、文部科学省の「小学校英語活動実践の手引」や『英語ノート』を参考にピックアップした上で、英検でおなじみの財団法人日本英語検定協会の協力のもとに最終選定したことや、ALTが不在でも先生方がご自分の教室で先生なりの英語活動ができるよう、とにかくシンプルな教材に仕上げたことなど、制作のポイントを紹介させていただいた。
付録のシールはもとより、印刷してフラッシュ・カードも作成できるなど、ご利用いただいている先生方には好評な点も付け加えさせていただく。

フラッシュ型教材は、「知識・技能」の習得・習熟に効果的

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堀田先生の総括講演に会場の先生方も聞き入る

 本セミナーのコーディネーター・堀田龍也先生(玉川大学学術研究所)の総括講演では、まず、フラッシュ型教材が担う役割が紹介された。
「新しい学習指導要領には、習得・活用・探究というキーワードがあります。習得をきちんとするということは、新しい学習指導要領でもとても重点化されています。フラッシュ型教材は、この習得の一部である習熟を担当している指導法だと考えてください。小学校外国語活動の目標は『コミュニケーションの素地を養う』。単語を覚えることが目的ではありませんが、それを経ずにコミュニケーションするのは無理ですよね。だから、5分で活用できるフラッシュ型教材で練習して、それからコミュニケーションへと進めばいいのです」

そして最後に、堀田先生は、フラッシュ型教材の「効能」について、次のようにまとめられた。
「薬には効能があり、どういうときにどれが効くというのがはっきりしていますが、学力にも色々あります。そのなかで、どこにどれが効くかを先生方は知っておかなければなりません。例えば、フラッシュ型教材が効くのは『知識・技能』。思考力、判断力を付けるならフラッシュではなく、じっくり考えさせたほうがよい。だから、フラッシュ型教材の適用外のところで『効かないじゃないか』というのは筋違い。『知識・技能』を短時間できちんと身につけさせる時間は、学校にはあるようでないのです。きちんと習熟させておくことが、習得を容易にし、活用・探究の学習のための時間を生むのです」
セミナー終了後、参加された地元の先生方にお話を伺うと、たくさんの好意的なご意見をいただいた。普段あまりプロジェクターを使わないというある先生は、セミナーに参加して、「思ったより簡単にできそう!」と感じたという。
「2年生の担任をしていますが、フラッシュ型教材を算数の授業で使えそうです。かけ算や、時計の読み方など、いろんな活用の仕方にチャレンジしたいです」とも。一方、普段からICTを活用しているという先生は、これまでに社会、国語、算数にフラッシュ型教材を取り入れた経験があったが、英語活動での活用は未経験。しかし、今回のセミナーはいい刺激になったという。
「模擬授業などを拝見して、英語活動でもフラッシュ型教材を使って子ども達と楽しく学習できそうです」
今回のセミナーでは、参加された多くの先生方に「フラッシュ型教材を明日から使える!」というイメージを持っていただけたように実感した。フラッシュ型教材活用セミナーは、今後、兵庫・宮崎・沖縄での開催を予定している。これからも、多くの地元の先生方にその魅力を伝えていくにちがいない。