フラッシュ型教材活用セミナー in 高崎

活用事例のご紹介

小学校英語フラッシュ型教材 実践セミナー リポート

(2008年11月8日 群馬県高崎市)

2011年度から全国の小学校5、6年生に対して必修化される「小学校外国語活動」ですが、前倒しの「移行措置」として、明年2009年4月から「英語ノート」の修正版を利用した「英語活動」が実施されます。 
そのスタートに備えて、現在、小学校・教育委員会・自治体等では対応策の確立が急務となっています。 
さらに、小学校英語活動には、文部科学省がPCやプロジェクター等を用いた、ICTの利活用による効果的な指導も求めており、多くの先生方からはこれらの取り組みに対して不安の声があがっています。

「フラッシュ型教材」はまさに、PCとプロジェクターを用いて普通教室で行うことのできる教材であり、文部科学省が求めている英語学習にはピッタリの教材といえます。 
そこで実際に「フラッシュ型教材」を利活用されている現職の小学校教諭による模擬授業や実践事例報告を通して、小学校や教育委員会の先生方に具体的な活用方法を提案する場が『小学校英語フラッシュ型教材実践セミナー』です。

■基調講演では、「小学校英語活動の3本柱」を具体的に紹介

今回の『小学校英語フラッシュ型教材実践セミナー』の舞台は、だるまの制作で全国シェア80%という群馬県高崎市。会場のビエント高崎には、小学校英語活動に関心の高い近隣の小学校や教育委員会の先生方、約40名が集まりました。 
主催者として冒頭の挨拶に立った社団法人 日本教育工学振興会の山口忠厚専務理事は、「これからの外国語活動にICTを取り入れ、わかる授業、楽しい授業につなげる機会にしていただきたい」と語り、本セミナーの活用を呼びかけました。

 

第1部は、基調講演として宇都宮大学教授・渡辺浩行先生が登壇。テーマは、『小学校における英語活動について 押さえたいこと、避けたいこと』。 
はじめに、小学校英語活動の3本柱として、次のように提示されました。 
【小学校英語の3本柱とは】 
A:(先生の)英語力 
B:指導力・・・(英語)コミュニケーション力 
C:カリキュラムと具体的活動

「Aの英語力は中2レベルでいい。B、Cについては、子どもの様子をよく見て、子どもに合わせて実践することが大切です。コミュニケーションは、言葉だけでなく、たとえば身に付けているもの、表情やしぐさなど、全部がコミュニケーションの道具なのです。言葉だけに頼らず、子ども中心にコミュニケーションを図っていくことが大切です」と語り、英語活動を楽しくしてくれるものとして、歌(ビデオ・DVD)、身近な話題などをあげられました。 
また、避けたいことのひとつとして渡辺先生が提示された『ストーリーがない小学校英語活動』については、フラッシュ教材の活用を解決法のひとつとして紹介。プロジェクターで映した動物や人物の写真を見ながら、それについての感想や質問を通して英会話をふくらませていくことで、ストーリー(ひろがり・ふかまり・つながり)が自然に生まれるのですと解説されました。

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▲「英語が使われていない時間が多いことも避けたいことのひとつ」と強調された。(渡辺先生)

続いて、財団法人日本英語検定協会の小学校英語に関する活動報告として、児童英検担当者の原田里麻さんが登壇され、『児童英検特区テスト』を紹介されました。そのうえで、通常の児童英検と比較して、①受験日時の制限がない ②先生に戻すデータを生徒指導に役立てやすい形でフィードバックしている等の特徴を説明。小学校英語活動の成果検証ツールとして児童英検特区テストを活用する学校や教育委員会が増えていますと、最近の小学校英語の動向について話されました。

 

■三者三様の「模擬授業」。ジェスチャーやカルタとりゲームで楽しく実践

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▲“I can ~.”の音声を聞かせ、その動詞を体で表す「ジェスチャーゲーム」を通して学習。(渡邊先生)

第2部は、『小学校のフラッシュ英単語270(動詞・形容詞編)』を使った模擬授業と実践事例報告。 
模擬授業のトップバッターは、静岡県静岡市立賤機中小学校の渡邊千佳先生。「“Hello!” 元気出していきましょう!」 
渡邊先生が発表されたのは “I can~.”という表現を学ぶ模擬授業。教材から流れるネイティブスピーカーの音声に続いて、渡邊先生と会場の先生方が一体となって大きな声で復唱します。セミナー会場が小学校の教室へと変わった瞬間です。 
“draw” ⇒ “draw!” 
“fold” ⇒ “fold!” 
“Perfect.” ⇒ (無言) 
「“Perfect.”等の『ほめ言葉』のあとには、“Thank you.”と言いましょう」 
参加者全員から“Thank you!”の声があがると、“教室”の一体感はさらに増して、穏やかな雰囲気が蔓延。いよいよ、今日のテーマである“I can~.”のステップへと。 
「今からゲームをしてみましょう。“I can sing.” “I can ski.” “I can swim.”が出てきたら、立ち上がってその動作を表すジェスチャーをしてください」 
「今度は、自分が得意なことが出たら、立ってジェスチャーしてみましょう」 
渡邊先生の快調なテンポに、参加した先生方も子どもたちになりきって身振り手振りをつけて表現していました。動作とあわせてネイティブスピーカーの音声は自然に耳に残り、まさに体感しながら英語に親しむことができたようです。

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▲教材にはイラスト(写真はbite〔噛む〕)が付いているので、英単語の意味も一致しやすい。(石井先生)

続いて登壇した青森県八戸市立根城小学校の石井一二三先生は、教材に収められている『授業で活用するコツ』から「グループ対抗のジェスチャーゲーム」を紹介。 
授業の冒頭、“bite”等の英単語(動詞)の復唱と「噛む動作」のジェスチャーを全員で行い、ある程度慣れてからゲームを開始。スクリーンに写された英単語を、体で表現しながら発音できたらポイントを獲得でき、より多く答えられたグループの勝ちというルールです。渡邊先生のジェスチャーとは違った、競争心をそそる英語ゲームで、フラッシュ型教材を活用した授業は、先生のやり方によって幾通りもの味つけができるということがよくわかりました。

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▲フルーツを取り合う参加者。ネイティブの音声を繰り返し聞くことで英語の発音に慣れ親しむことができる。(笠原先生)

模擬授業の最後は、群馬県前橋市立桂萱東小学校の笠原晶子先生によるカルタ取り方式のゲーム「フルーツパフェを作ろう」。あらかじめ、黒板の左右にフルーツパフェの容器の絵を2つ描き、その間に『フラッシュ英単語』のCD-ROMからプリントした果物の絵のフラッシュカードを10枚ほど貼っておきます。対戦する2人は、フラッシュ型教材の音声が “I like(果物名).” を聞いて黒板のカードを取り合い、果物カードを多く取ったほうがより豪華なフルーツパフェが完成するという仕組み。音声を注意深く聞き取ることがねらいです。

3人の先生方は、模擬授業の共通教材として『小学校のフラッシュ英単語270(動詞・形容詞編)』を使用されましたが、授業の展開の仕方は三者三様。「ネイティブ音声を聞いて発声する」という語学に必要な繰り返し学習にゲーム性を加えることで、子どもたちを飽きさせずに楽しく学ばせる工夫をされていると実感しました。

■子どもたちのいきいきとした英語活動が映し出された「実践事例報告」

実践事例報告の一番手は、札幌市立屯田南小学校の神林裕子先生。日ごろからフラッシュ型教材を使っている理由について話されました。

 

●フラッシュ型教材をなぜ使うの?
  1. 外国語の音声やリズムに慣れ親しませることができるから
  2. 日本語との相違、言葉の豊かさに気づかせる学習になるから
  3. 楽しく短時間で効率的な学習になるから
  4. 大きな声を出して、発音の学習になるから
  5. 子どもたちに自信をもたせることができるから

この理由を裏付けるように、実践事例のビデオには子どもたちのいきいきとした英語活動が映し出されていました。4年生の英語活動として行われた『サークルゲーム』では、『フラッシュ英単語』の絵を散りばめて作ったワークシートを使用。教材の音声に合わせて子どもたちが絵に○印を付けていきます。はしゃぎながらも、しっかりとネイティブの音声に反応しているその表情には「英語って、楽しい!」という喜びにあふれていました。 
フラッシュ型教材の活用のねらいは、とくに使いたい英語を楽しく短時間で効率的に学習すること。そして、子どもたちに「英語が分かった、楽しい」という自信を持たせることです。フラッシュ型教材では、テンポよく、英語をたくさん聞かせることができますと、神林先生はその魅力を話されました。

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▲実践事例のビデオでは、他に5年生の英語活動「指差しゲーム」なども紹介された。(神林先生)

続いて登壇された富山県氷見市立明和小学校の表克昌先生は、『フラッシュ英単語』が、学校生活のさまざまな場面で活用できることを紹介。その一例として、明和小学校ならではの『健康観察』を実演されました。 
「富山県だけかもしれませんが、朝の健康観察として、『○○君』『はい、元気です』、『○○さん』『風邪気味です』と子どもたちに聞いていくのですが、それを英語でやってみましょう」 
表先生からの“How are you ?”という問いかけに対して、参加者のみなさんは『フラッシュ型英単語』に収録されている『感情』の項目で学習する英語(“I am happy.” “I am excited.”など)で自分の今の状態を答えていきます。 
「これを子ども同士のグループで行うと、例えば“I am hungry.”と答えた友だちのことを、『朝ごはんを食べてこなかったのかな?』と気にするかもしれません。これが他者理解、まさにコミュニケーションの第一歩です」と。

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▲グループを組み、「何時におきましたか」等、『フラッシュ英単語』に収録されている英語で答える「インタビューゲーム」も実践。(表先生)

また、表先生は、「単語を覚えていくには『フラッシュ英単語』を繰り返すことが必要ですが、そのうち飽きてくる子も出てくるために、きちんとチェックや評価をすることが大事」として、再度、事例を紹介。 
「うちの学校で行っている『単語マスター』をやってみましょう。『フラッシュ英単語』の音声をオフにして、英単語のみをランダムで2秒間ずつ表示する間に、すべて言えたら合格!子供にはシールをあげます。子供たちは一生懸命になって、休み時間にも練習して、先生、テストさせてと言ってきますよ」 
『フラッシュ英単語』のポイントとして表先生があげられた「いつも使うことで外国語の音声に慣れ親しむ」「単語を覚えることで基礎・基本が身につく」などがそのまま実践されている活動紹介に、参加者のみなさんも深く納得された様子でした。

■ 『フラッシュ英単語』は、“コミュニケーション”を下支えする教材

最後に、『フラッシュ英単語』開発プロジェクトの中心的存在であり、本セミナーのコーディネーターとして登壇された、独立行政法人メディア教育開発センター准教授の堀田 龍也先生は、『フラッシュ英単語』を開発された理由を次のように説明されました。 
「『フラッシュ英単語』で、コミュニケーションにつながる基礎の部分を支えようと考えました。英語活動を活発に行っている地域ほど『一定の単語量は必要だ』と口をそろえて言います。ネイティブの音を耳から入れて子どもたちに知識を広げてもらい、そのうえでコミュニケーションに発展しようと考えたのです」

 

また、堀田先生は、『フラッシュ英単語』のポイントとして、『変化のある繰り返し』をあげられました。 
「算数でも漢字でも一定の繰り返し学習は必要ですが、単なる繰り返しが辛いことはみなさん体験しています。だから、楽しく繰り返せる仕組みとして、提示順序・内容・速さの選択で26万通りの組み合わせを用意しました。単純だけど、いろいろ使い方ができるわけです。先生が子どもたちに合わせて難易度等を設定して使うことで、飽きのこない繰り返し指導を実現してほしいと思います」

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▲「『フラッシュ英単語』で、飽きのこない繰り返し指導を実現してほしい」と締めくくられた。(堀田先生)

本セミナーには、模擬授業や実践報告のために全国各地から集まった現役の小学校の先生方が登壇されましたが、参加された先生方からのアンケートには、 
「実際の授業風景が思い描けました」 
「子供たちが楽しんで活動している状況がよく分かりました」など、 
不安が一掃された様子が伺える、うれしいご意見が多数寄せられました。 
『小学校英語フラッシュ型教材実践セミナー』、これからも可能な限り開催して、ぜひとも全国各地の先生方のお役に立ちたい! そう強く感じた一日でした。